複数のキットパーツを組み合わせて独自の作品を作り上げること(ミキシング mixing)について、「原作情報(…)を明記」することを要求しておられるけれど、うーん、プラモデル制作(ミキシング文化)の実態に合っていないんじゃないかなあ。
1: そもそもミキシングというのは、「両腕は○○ロボット由来で、胴体は××ロボット」のような単純なものではなく、ものによっては本当に原形を留めないほどにズタズタにして組み合わせたりする。
2: そもそも原作の無いパーツ(汎用ディテールアップパーツ)も、多数市販されている。
3: 実在の戦車や航空機のキットなど、創作物の「原作」ではなく、単なる「モデル元」であるものも多い。
4: メーカー側も、ユーザー各自がキットを利用して自由に作ったり組み合わせたりするのを良いことだと推奨しているところが多い。
要するにプラモデルキットは、「作品」ではなく「キット」、つまり、いわゆる「夏休みの工作キット」と同じように、本質的には素材集にすぎない。その意味で、プラモデルのミキシング文化において、尊重されるべき「原作」の創造的プレゼンスは、かなり小さい。
もちろん、プラモデル制作において原作が意味を持つ場面も多い。典型的には、キットのままストレートに「○○ガンダム」そのものを組み立てた場合は、原作を明示することに一定の意義はあるだろう。あるいは、既存の「○○ガンダム」を色変更したり盛り付けたりして、オリジナル設定の「○○ガンダム××仕様」にするといった場合もある。それはそれで分かる。
しかし、ミキシング制作について言うと、基本原則はむしろ「キットはあくまで市販素材」という価値観がかなり強くなってくる。そこにはデリケートな価値的相違があると思うのです。
プラモデル分野の内部だけでなく、外部(一般人)の視点にとっても、「原作に対する侵害」とか「原作の隠蔽」といった懸念は、ほとんど問題にならないと思われる。というのは:
・プラモデル写真は、既存の市販キットを組み立てたものであることが、ほぼ自明である。すなわち、一次創作か二次創作かという混同は、ほぼ生じ得ない。
・プラモデルキットは、それをユーザーが組み立てることを当然の前提にしている。だから、プラモを組み立てることは、二次創作的な行為ではなく、あくまで市販商品それ自体のコンセプトの枠内に留まる実現行為に過ぎない。その意味で、ゲームキャラやアニメキャラに対する二次創作イラストとは、まったく意味が異なる。
こういった見地からして、規約「原作情報(ゲームタイトル、プラモ作品名、キャラメーカーのURL、等)を明記し、それが自作の世界観のキャラクターではないことが分かるようにしてください」は、うーん、なんとも奇妙な要求に思える。
文句を付けるわけではないが、プラモデル分野の価値前提や商品形態や活動実態に照らして、あんまりうまく当てはまっていない規約だなあと思う次第。
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