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漫画『国民クイズ』の「原子力空母 大原麗子」が、人の横顔の形になっているというのに、ようやく気づいた。アングルドデッキ(飛行機の発着するラインを斜めに傾けたもの)を、こういうヴィジュアルイメージに落とし込むとは凄いなあ。
 ちなみにこの作品(1993)は、「バブル好況が続いて世界の覇権を握った日本」という架空状況で、人々が「国民クイズ」のメディア誘導に踊らされる有様を皮肉たっぷりに描いている。『時計仕掛けのオレンジ』や『未来世紀ブラジル』のようなネタに90年代日本漫画が取り組んだ、不条理と風刺と熱狂に満ちたディストピアもの。
 上記の空母ネーミングも、米国には「空母ジョージ・ワシントン」とか「空母ロナルド・レーガン」があるんだから、日本だったら「大原麗子」や「島倉千代子」になるよね、というもの。現代日本文化のキッチュさを極端に誇張した本作のアプローチの一環と言えるだろう。

『国民クイズ(上)』愛蔵版、38頁。「原子力空母 大原麗子」を真上から撮ったカットになっている。2枚目の画像は、これにコメントを付記したもの。
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同書42頁。番組司会の男性(主人公)が、暑苦しい表情で「世界の真実 国民クイズ!!」と叫んでいる。
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同書17頁。「民主主義はもういらない あなたのための全体主義」というショッキングなキャッチコピーとともに、番組「国民クイズ」が始まるところ。
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