漫画『国民クイズ』の「原子力空母 大原麗子」が、人の横顔の形になっているというのに、ようやく気づいた。アングルドデッキ(飛行機の発着するラインを斜めに傾けたもの)を、こういうヴィジュアルイメージに落とし込むとは凄いなあ。
ちなみにこの作品(1993)は、「バブル好況が続いて世界の覇権を握った日本」という架空状況で、人々が「国民クイズ」のメディア誘導に踊らされる有様を皮肉たっぷりに描いている。『時計仕掛けのオレンジ』や『未来世紀ブラジル』のようなネタに90年代日本漫画が取り組んだ、不条理と風刺と熱狂に満ちたディストピアもの。
上記の空母ネーミングも、米国には「空母ジョージ・ワシントン」とか「空母ロナルド・レーガン」があるんだから、日本だったら「大原麗子」や「島倉千代子」になるよね、というもの。現代日本文化のキッチュさを極端に誇張した本作のアプローチの一環と言えるだろう。