西側諸国でも、市民の間には反-ジェノサイドの声が強く、政府の行動――民間人への攻撃が行われていることを無視して一方当事国を丸呑みで支持する姿勢――がそこから乖離しているという主張が、それらの国内記事等でも見出される。なので、目下の悲惨な状況から、「西洋的な人権ユニヴァーサリズムが破壊された」と断ずるのはいささか性急であって、さしあたりは「国際的人権問題に対する民主的コントロールの利きづらさが露呈している」くらいに捉えておく方がよいのではないかなあ。
国際社会の公正さを求める私たちは、欧米の(健全にも公平な意見を持っている)人々と協力していくべきだ。しかし、「お前たち(欧米市民)は西洋的な社会的公正の理念を放棄したのだ」と一括りに非難してしまうことは、そういった協力の可能性を手放してしまいかねない。
日本(日本国または日本人の多く)は、今回の状況に関して、どちらか一方に大きく偏って利害を持つということはあまり無いだろう。だから、国単位/勢力単位での敵味方の色分けにコミットするのではなく、ひとまずは民間人に対する無差別攻撃や居住地追い出しや病院への砲撃のような反人道的行為のみに絞って、それらが為されないように求めていくのが、採りうるベターな道ではないかなあ。