https://hjweb.jp/series/1262483/
HJの出版物を買うのは、転売擁護発言以来、久しぶりだが、新創刊のご祝儀も兼ねて購入した。内容は各社キット作例と、コトブキヤ主要スタッフの座談会(4ページ)。
座談会によれば、浅井氏サイドでは「レイキャシール→武装神姫」の流れ、コトブキヤ側では「ヴァルシオーネ/ホイホイさん→FAG」の流れが合流して、2016年のメガミデバイスに結実したという展望のようだ。これまでにも様々な媒体で述べられてきたことで、納得のいくきれいな整理。ただしHJ編集部側の認識(序文)は、いまだに轟雷史観のままでかなり浅い印象。
私見では、今世紀のガールプラモ分野の芽吹きはメカガール(メカ少女)文化に負うところがきわめて大きく、フェイ・イェン(2007)やホイホイさん(2009)からノーベルガンダム(2011)、「KOS-MOS」(2012)まで、メカキャラのプラモデル化がリードしてきた。轟雷(2015)もロボットの擬人化ものだし、メガミデバイスも1/1スケールのミニロボットという設定。そういったバックグラウンドを、コトブキヤ座談会もHJ編集部も視野から完全に外しているのは、非常にもったいないと感じた。ちなみに私なりの展望は、ブログ記事( https://gardenatdawn.blogspot.com/2023/05/girlsplasticmodels.html )に書いたとおり。
その他。海外メーカーのキットに一切触れていないのは、いかにもHJらしい。趣味の雑誌にはよくあることだけど、メーカーから情報と広告をもらって存続している宣伝誌だと、海外メーカーの情報が極端に弱くなる。もっとも、童友社のような輸入窓口メーカーを経由して、今後の誌面にも反映されていくかもしれない。
座談会では、ガールプラモの設計は「PVCアクションフィギュアの3倍手間がかかる」(p. 37)とのこと。「分割や色分け、肉厚の制限がずっと厳しくなるうえ、それが誰にでもちゃんと組めて、強度も保つ必要がある。関節の入る角度もかなり明確に限られてしまう」(ibid.)。確かにそうだろう。
2015-2016年時点では「うちしかできなかったでしょうし、バンダイさんも当時はこのサイズではやろうとも思っていなかったはずです」……これは疑問。BANDAIは当時すでに「S.H.Figuarts」(2008-)、「Q-JOY」(2008)や「モエバイン」(2009)、「ノーベルガンダム」(2011)、「アーマーガールズプロジェクト(AGP)」(2012-)、「HG ファルシア」(2012)などの実験と成果を持っていて、明らかにこの分野の発展を予見して準備してきたように見受けられる。
この分野を「ガールズプラモ」と称ぶのは、まあ、ありかな。個人的に「美少女プラモ(美プラ)」という呼称はあんまり好きではなくて(※ただの好みの問題)、私自身は「ガールプラモ」で通している。このムック本の「ガール『ズ』プラモ」は、ちょっと微妙だが、まあ、悪くはないと思う。ちなみに「ギャルプラ」という呼称を流行らせようとした人もいたけど、うん、それはないよね……。
ガールズプラモ専門誌、はじめます! 【本日発売】「ガールズプラモスタイル #01 特集:メガミデバイスの7年」 – Hobby JAPAN Web
現代ガールプラモの歴史的展望(1):00年代後半のHASEGAWA