そもそも声優(役者)は、言葉のつらなりに対して意味づけや表情やニュアンスを作り出す専門家だ。そのスキルは台本芝居だけでなく、歌詞のある歌でも発揮される。とりわけアニメOP曲のように、ストーリーやキャラクター性と結びついた楽曲であれば、歌詞の意味づけやキャラクターの感情やストーリー展開や作品全体のコンセプトを深く読み込んで解釈したうえで、それを言葉に乗せて表現できるプロフェッショナルだ。それが高い水準で出来るのは、本職声優の大きな強みだ。
歌曲には「音響としての歌」と「言葉としての歌」の両方の性質があると思うが、声優(役者)による歌は、後者の側面を鮮やかに表出する。歌詞の意味づけがクリアに伝わってくるし、歌に豊かな感情表現が乗ってくる(その点では朗読劇と通底する)。
キャラソンCDを出したり、アニメの主演声優がその作品のOP曲を歌ったりするのは、けっしてただの余技やファンサービスなどではなく、独自の価値がある。そういう意味で、「声優による歌」は大好き。