模型分野はさまざまな対象を立体化するという特殊な創作領域であって、戦車から特撮ヒーローから宇宙望遠鏡からロボットから城郭模型からソフビ怪獣からドールまで、多様なジャンルと交錯している。
それをモデラー個々人の次元として言えば、「対象(原作や史実)を知らなくても造形的な妙趣や工作の面白味に着目して楽しめる」ということでもあり、あるいは、「模型分野は、あらとあらゆる事象や分野に対するつながりを持ち、新たな関心を触発してくれる巨大な鉱脈だ」と言うこともできる。少なくとも私自身は、そういった自由さを享受できること、そうういったポテンシャルから汲み取れるものがあることを、模型分野の楽しみの大きな一つとしている。
正直に言うと私自身は『ポケモン』シリーズはまったく知らないし、知らなくても楽しんだり、(前記のように)モデラーなりの独自の視点からアプローチしたりすることができる。さらにはそこから原作への興味を触発されることがあるかもしれない(そういう期待もある)。モデラーとしての私は、こういう距離感で対象に向き合っている。
あるいは、モデラーアカウントのそういった雑多な言及や投稿が私以外の人々の新たな関心や経験の機縁になったりすることがあったりするかもしれない。SNSにおける他者との交流とは、そうやって緩やかにお互いの世界を広げる(かもしれない)ことのためにあるのだと思う。