何か最近不安定な感じだな,Tootdonからtimeout errorになることがしばしばある
辞書の項目をアルファベット順に並べるのが普及しにくかったのはもしかして書物の物理的形態とも関係したりするだろうか.
今の小口を断ち切った丈夫な冊子本ならパラパラめくりながら目的の語句にたどり着くのは容易だが,ページ番号もなしに続いていく巻物のような形態だとさほど検索上の利便性を感じられなかったのかもしれない.
アルファベット順といっても初期の辞書は徹底したABC...方式ではなくA配列やAB配列,つまり最初の一文字や数文字にだけ注目して配列するという方法をとっていたので,探す単語がAで始まるならAの語群を虱潰しに見ていかないといけなかったりした.
ジョナサン・グリーン(三川訳)『辞書の世界史』には,古代・中世ではアルファベット順よりも主題の分野ごとの配列の方が一般的であったことと比べて,思想的な点から見た辞書の配列方法の問題が論じてある.
「言葉をアルファベット順に並べるというのは,この思想(=世界を秩序立った形で継ぎ目なく記述しようという考え)に反する.互いに関連のある情報が一ヵ所にまとめて置かれるのではなく,関係のある語がアルファベットの様々な場所に分散してしまい,その結果,主題が集約されずに断片に分かれてしまうのだ」(p.76)
(百科)事典と辞書が必ずしも常にはっきり区別できるものではなく,事典が世界の事物についての「知りうることすべてomne scibile」を網羅的に記述するという点で一種の世界の鏡になっていると考えると,検索上の便利に対して断片化という欠点は決して小さなものではなかったのだろうと思える.
このFowlerの論文でも中世における百科全書が「鏡・鑑」というイメージで捉えられていたという指摘がある(https://gnosia.info/@ncrt035/100898165020249358 ).ただ古典期におけるκόσμοςにしても秩序ある存在であるには違いないので,この点で古代と中世はシームレスに繋がっていると考えることもできるかもしれない.
実際,特定の単語を検索するならアルファベット順配列の辞書が便利でも,もう少し広い視野でその語をしっかり理解したい場合には,よく整理された語源辞典がそうであるように,同族語をまとめて記述してくれた方が助かる.
一冊の中ではなく複数の本の整理となったとき,図書館の本は分野ごとに十進分類法で配列してあるわけで,あれがもし徹底して書名のアルファベット順に並べられていたらと想像するだけで頭が痛くなる感じはある.
古代・中世の辞書と百科事典,その配列法について思いついたことをポンポン書いたので返信でツリーにするのを忘れてしまった.
https://gnosia.info/@ncrt035/100898165020249358
https://gnosia.info/@ncrt035/100989259336760989
https://gnosia.info/@ncrt035/100998501107433563
https://gnosia.info/@ncrt035/100998518327241711
https://gnosia.info/@ncrt035/100998557918555197
https://gnosia.info/@ncrt035/100998596443198856
https://gnosia.info/@ncrt035/100998600923560856
https://gnosia.info/@ncrt035/100998626823950691
ほえー | 「Yahoo!知恵袋」の不快な投稿、見えないところへ わずか1日で6億件を処理 ヤフー社内で何が起きたのか (1/2) - ITmedia NEWS
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/02/news026.html
『人文情報学月報』,購読者数を把握したいからという理由で間にこういうのを噛ませてるせいで登録後に無料メルマガを解除する手間がかかるのアレ
https://www.mag2.com/m/0001316391.html
「デジタル・ヒューマニティーズ」という呼称自体がザ・カタカナ語って感じなのと英語圏中心的なのであまり使いたくなさがある.
「人文情報学」の方を推していこう.イタリア語のinformatica umanisticaとかに対応させられる.
英語版WikipediaでHumanistic informaticsを見ると,この語は主にヨーロッパで使われて,大体Digital Humanitiesに近いらしいことが書いてあって,確かにそのような認識だけれども,もう少し典拠というか他の文献を見る必要がある感じ.
The term is fairly common in Europe, but is little known in the English-speaking world, though Digital Humanities (also known as Humanities computing) is in many cases roughly equivalent.
こんなのがあった
Antonello Fabio Caterino, Marcello Bolpagni, & Marco Petolicchio. (2017). Glossario di informatica umanistica (GLODIUM). Zenodo.
Wilhelm Enßlinに『アンミアヌス・マルケッリヌスの歴史記述と世界観について』という著作がある.
Zur Geschichtsschreibung und Weltanschauung des Ammianus Marcellinus (= Klio Beiheft 16). 1923.
@plinius
なるほど.
アンミアヌスは邦訳の第1分冊が去年出たので手にとりやすくなりましたね(出版社のページに詳しい内容目次が付いていて,第16巻からユリアヌスの話が本格的に始まるようです).
http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?isbn=9784814000968
個人的な関心としては,歴史記述のほかに数多く含まれる脱線・余談の数々が気になるところです.