w3cのなかからはヨーロッパ的なもの(アメリカ的ではないもの)を感じるんだけど、それがどういうものかうまく説明できない。
w3cのなかからはヨーロッパ的なもの(アメリカ的ではないもの)を感じるんだけど、それがどういうものかうまく説明できない。
コンピュータにまつわる文化や思想を、アメリカ的なものとヨーロッパ的なものとに区別したいという気持ちがしばらくあって、根本的な系統がやはり異なるという気がする。GDPRなんかをみてもそうだけど。ほかではHCD(Human Centered Design) と UCD(User Centered Design)の違いもそうで、HCDはヨーロッパの労働運動起源だがUCDはアメリカの認知科学が起源(UXの概念は後者から発展する)。
林房雄「勤皇の心」というテキストを読んでいるけど、このひとプロレタリヤ文学からの転向というのにびっくりした。
私は後に大学生として、治安維持法の被告になり、検事に左翼思想を抱くに至つた動機を尋問されたとき、「文学の影響」と答へた。これは、その場逃れの返答ではなかった。独房の中で静かに自分の心の底を探つて、この答へを探り出したのである。(「勤皇の心」林房雄)
文學界という同人誌の創刊ということがどういう背景においてなされていたのか、そもそも知らないのだが、そのへんをもうちょっと知る必要がありそう
この資料、松本重治へのインタビューがあり、インタビュアーは昭和62年当時の美術館次長垂木祐三氏なのかな?以下の箇所が気になる。
平和条約でフランスにあった日本の財産はフランスのものになったといいながら、フランス側は松方さん側が権利を放棄することを明確にしておいてくれということを言っておりまして、昭和三十年に松方三郎さんの名前で文部大臣あてに、松方コレクションについては権利を放棄しますという文書をお出しになっておるようですが。
これはインタビュアー側の質問で、フランスが返還にあたって、松方の権利を放棄させ日本国の財産とさせたのは松方幸次郎の戦争責任を見てのことだろう。 当初敵国財産として押さえはしていても、そもそも民間人の私有財産であるから返還をしようという話があったのが、仏領インドシナで日本軍がフランス人を虐待したとかで反対運動があり、国対国の交渉に切り替わったという話を松本重治がしている。フランスとしては、松方幸次郎の私有財産として返却するのではない、という立場を明確にしているのは、それなりに重要な話であるようにおもう。フランス側が私有財産としては返還しなかったのは、松方の政治的立ち位置を低く見積っていない(ただの民間人とは見做していない)からだとおもわれる。
国立西洋美術館設置の状況 第1巻 関係者にきく https://nmwa.repo.nii.ac.jp/records/766
上記の質問に対して、松本重治が「僕は知らん。」と返しているのが、とぼけているのか、経緯をなにも知らないのかよくわからないな。
松本重治の以下の証言もずいぶん変な話で気になる。
文部省が返還してくるものをいれる美術館を文部省傘下の近代美術館分館とするという決定をするんですよ。それで予算案に入れたんだ。僕はフランスとの約束の条件は、ザ・ミュージアム・オブ・モダン・ウェスタン・アートで、分館と書いたら契約違反になるから独立のミュージアムでなければいかんのだと言った。
これがいまの近美と西美が分かれることになる経緯だけど、「近代美術館分館」だと約束違反だとフランス側が馬鹿げた主張をしたのだろうか。 いったん近美分館という体裁でできた予算案を、松本重治は、ほとんど無理矢理修正させ、「国立西洋美術館」という独立組織を作りだすことになった。この画策には松本重治の意図があるのではないかという気がする。
松本重治は、松方コレクションの交渉について、一貫して「返還」という言葉を使っているけど、フランス側はもはやフランスの国有財産になっているから「寄贈」としている。おそらく、松方幸次郎が軍需産業当事者であったり大政翼賛会議員であったりしたため、松方家への「返還」はできなかったものとおもわれ、「寄贈」という形をとっているとおもわれる。Wikipedia には以下のような記述がある。
国立西洋美術館では「寄贈返還」という言葉を使い、パンフレット等にも「フランス政府から寄贈返還された松方コレクション」と紹介している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8
フランス政府が「寄贈」とする理路を、交渉にあたった松本重治が知らないはずがない。松方三郎が権利放棄を文部省宛てに文書で出したというのは、フランス政府からの「寄贈」であることを明示する点で重要な話であり、松本重治が「知らない」というのはとぼけているのだとおもう。松本重治の立場は「返還」であって「寄贈」ではないというものなのだろう。コレクションについて権利放棄している以上は「返還」は通る話ではないのだが、松本重治は松方三郎のコレクションに対する法的立ち位置を低く見積るような発言をする。
「僕は知らん。」と言われたインタビュアーは、「そうですか。松方三郎さんがコレクションについて一番の権利を持っておったのかと思いました。」と聞きなおし、松本は「いや、そんなことはない。権利はなにもない。親類のうちでは一番美術に詳しい。」と返している。松方幸次郎の養子であった松方三郎に「権利はなにもない」はずはないし、権利がないのに権利放棄の文書を提出することもできないのだから、松本重治が松方三郎の動きを承認したくない、と推測するのが妥当だろう。
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