高木まどか著『近世の遊郭と客』読了。
著者は、「吉原は近世身分制度から独立な公平性がある世界だ」という言説が歴史的に形成されてきたことに対して、遊郭で客として排除されてきた役者、穢多、非人について論じている。「身分制度から独立な公平性」があると言われる遊郭において「排除」されてきた客は遊郭外の身分制度において差別されてきた存在であり、ここに光を当てることで遊郭における「公平」が一部身分の人間にとって都合の良い公平に過ぎないことが明らかになる。著者がそこまで言っているわけではないけど、要するにブルジョワジーである。
著者の資料読解がめちゃくちゃ詳細ですごいけど、資料の性格がそもそもブルジョワ男性=客にとって都合のよい理屈が散りばめられていることが明らかになるのは、かなり読み応えがあった。