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唐突に、1月~3月に視聴していた中国アニメのメモ⑤

 
『烈火澆愁』日本語吹替版
youtube.com/watch?v=1Yc_o2-Akb

字幕版でも観てたやつ。ドラマ『山河令』などと同じpriest先生の原作。架空の現代中国を舞台にしつつ、3千年前からの因縁がたたってくる話なので古代のシーンも。キービジュアルのキャラクターは2次元ぽい絵だったけど、みんなCGで動かしている。たまにエフェクトとかは手描きで足しているのかなって感じに見えたので「標準的な日本のアニメとは考え方が逆?」って面白かった。

漢字びっしりの特殊用語が多く、字幕版ではなんとかついていけてたところも、吹替版で音声のみだと「??」となる。ニコニコ動画の配信で、原作読破した人が補足コメントを入れてくれてたので、それで初めて字幕版でもよく分からなかった部分が理解できたりもした。

一連の事件に黒幕の存在が垣間見えて、本筋が始まるのはここからだな!? って引き込まれたとこで最終回。当然2期の製作予定はあったそうなのだけれど、諸般の事情で望み薄らしいとネット上で言われているのを見た。キャラクターはだいたいみんな好きだったので残念。

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開花しはじめるのと葉っぱが出てくるのが、ほぼ同時期だった。このあたり、お天気が変だったもんねえ……。

桜の花が咲いた枝の写真。すでに所々に緑色の葉が見えている。
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唐突に、1月~3月に視聴していた中国アニメのメモ⑥

 
『命运拳台/Ringing Fate』英語字幕付き
youtube.com/watch?v=coXm8qTmN9

『時光代理人』等の李豪凌監督(先日の日本でのアニメイベントでは「Haolin」の名で登壇)が原作から手掛けている。

これもだいたいCGアニメだと思うんだけど、この世界が私たちの知る現実とは別の次元にあると明言され、住人は必ずしもヒト型ではなかったりするのもあって、動きに違和感は抱かなかったです。

そして多層的な世界観においてレイヤーが変わるとそれが作中にも反映されるのが最初、意表を突かれた。いろいろ表現方法を「実験」している感じがある。

キャラデザインがとても可愛い。笑えるシーンも。なのに、実はヘヴィな内容。で、キュートなデフォルメキャラと、ハードなメカ戦闘描写の調和の仕方が異様(褒めてる)。

ハオリン監督が作るお話は、設定・筋書きの闇深さと、作品全体の基底にある真っ当さのギャップがえぐいんだ。本作でも、いびつな世界のなかで、とにかく主人公の少女のまっすぐな意志の強さ精神の健やかさが光り輝いている。この子が大好きです。

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昨日ものっすごく久しぶりに東京駅で降りた。

JR東京駅・丸の内駅舎北ドーム内側の天井の一部の写真。黄色い壁、ドームの頂点から八角形に延びる茶色い枠組、その下に延びる白い石膏の枠組や鷹のレリーフなど。
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川森博司『ツレが「ひと」ではなかった 異類婚姻譚案内』(淡交社,2023年12月)

日本各地に伝わる「異類」との婚姻が含まれるさまざまな昔話を、相手が動物のもの、異界の住人(天人など)であるもの、異形(鬼など)であるもの、と3つのパターンに分け、時には海外の伝承や、近現代の創作物をも引き合いに出しながら解説している。

鶴のヨメ、猿のムコなどいろんな昔話があることをぼんやりとは認識していたけど、次々とこれだけ列挙されるとなかなか壮観。そして、やはりお隣の中国や韓国には、よく似た話があるんだなというのも、あらためて並べられると興味深い。またアイヌの民話が、むしろ中韓のものよりも、いわゆる和人とは違う文化圏のセンスを感じさせるのにも、なるほどなあ、と。

で、こういった、個人の意思で創作されたのではなく社会のなかで結果として残されてきた伝承は、現代的な価値観で表面的なディテールに基づいて好き嫌いを言うようなものではない、というのも、読む前から頭では分かっていたのです。

〔つづく〕

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〔つづき〕

でも結局、「女性側(人間でもそうでなくても)の負担のほうが大きい話、多すぎない!?」とか「都合のいい働きものの美女なら素性不明の押しかけ女房でも喜んで受け入れるくせに、約束したことを守れなかったりする人間男性、覚悟がなさすぎでは!?」とか、ついつい憤りが……。

異類婚が持続しない(異質なものの排除によって秩序が維持される)お話が日本では多いのにも、複雑な気持ちが湧きます。人と人でないものが幸せに添い遂げるお話も、ないではないのだけど。

そういった「もやもや」ポイントについてはしかし、本書でも明示的に俎上に載せられており、また最終章ではさらにさまざまな観点から、日本の異類婚姻譚についての総合的な分析と提言がおこなわれます。

雑なまとめになるけど、ここで示唆されているのは、われわれには異質なものへの対応やジェンダー観などにおいて、こういった文化的背景を擁してきた面があるんだと認識することで、現代に生きる者として意識的に、新たに違う局面へと踏み込んだ物語を創出し、現実世界でのスタンスにもフィードバックしていけるはず、ということではないかと。

〔了〕