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新井素子『定年物語』(中央公論新社,2024年3月)

新井さんご自身の「ほぼ実話」な結婚生活を、作家の陽子さん&会社員の正彦さんカップルに託して描いてきたシリーズ、ついに正彦さんが定年。ずっと読んできた者としては、もうその事実だけで、かなりしみじみ。

1986年の『結婚物語』の頃は、自分がまだティーンだったので、この世の未知のシステムについて教えてもらうような気持ちでしたが、いまとなっては10歳程度の年齢差など塗りつぶされるような他人事でなさがある。加齢に伴う身体能力低下の話題とか、ご両親のこととか……。

とはいえ、やはり特殊は特殊なご夫婦だとも思いますよ。こんな人、いるんだ! って記述はいっぱい(少なくとも私にとっては)。

ここで具体例を挙げようとしたのですが、いろいろありすぎて取捨選択できなかった。まあ興味のあるかたはご一読を。陽子さん(新井さん)は説明作家なので、そのブレない特殊な部分を饒舌に語ってくださっていて、それが本作を分厚い娯楽小説作品として成り立たせている。

なんにせよ、おふたり仲良く充実した生活を送ってらして、なによりです。いつまでもお元気で!

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ブログ更新:2024年4月に読んだものメモまとめ
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■川森博司『ツレが「ひと」ではなかった 異類婚姻譚案内』(淡交社,2023年12月)
■杉浦さやか『すきなもの たのしいこと A to Z '80s~'90s 少女カルチャーブック』(祥伝社,2023年10月)
■三浦しをん『しんがりで寝ています』(集英社,2024年3月)
■周密『BLと中国 耽美をめぐる社会情勢と魅力』(ひつじ書房,2024年3月)
■古賀及子『おくれ毛で風を切れ』(素粒社,2024年2月)
■新井素子『定年物語』(中央公論新社,2024年3月)

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