2017-07-23 19:52:13 @ncrt035@gnosia.info
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Ἡσιόδου τό τ' ἄεισμα καὶ ὃ τρόπος· οὐ τὸν ἀοιδῶν
ἔσχατον, ἀλλ' ὀκνέω μὴ τὸ μελιχρότατον
τῶν ἐπέων ὁ Σολεὺς ἀπεμάξατο· χαίρετε λεπταί
ῥήσιες, Ἀρήτου σύντονος ἀγρυπνίη.

主題と文体はヘーシオドスのもの. 詩人のうちの
 最端の者でなく,恐らくは言葉のうちのこの上なく
蜜のように甘いところをソロイの人は真似たのだ.ようこそ,
 繊細な詩歌よ,アラートス渾身の徹夜仕事よ. 

※カッリマコス『エピグラム』27番.ソロイの詩人アラートスの『天象賦』に言及したもの. 

2017-07-24 14:57:26 @ncrt035@gnosia.info
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Hermannの古典研究が飽くまでも言語面に集中し,古典古代の言語を知悉することによる直観を重視したーーnel Hermann si faceva sentire ... un aristocratico disprezzo per le minuzie paleografiche e la convinzione che i problemi del testo vanno risolti sopratutto grazie all'intuito filologico e a un'ottima conoscenza della lingua e della metrica di un autore(V. Di Benedetto, La tradizione manoscritta euripidea, Padova, 1965: pp.10f.)ーーことは,クローチェの主張するil buon gustoと内容的に響きあうものがあるようにも思われる.

2017-07-24 20:31:59 @ncrt035@gnosia.info
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とりあえず一番長いLa Penna, A., 'Gli «Scritti filologici» di Giorgio Pasquali', pp. 15-77をサラッと読んだ.
パスクァーリの文献学関連著作はScritti filologiciとしてOlschki社から1986年に出ていて,La Pennaはそこに序文を寄せてもいる人物.
内容としては,文献学者としてのパスクァーリの形成と業績を時系列に沿いながら概観し,その意義や歴史的文脈を確認していく論文になっている.
[※面白かった点とかを非公開返信で付けます]

2017-07-25 16:11:37 @ncrt035@gnosia.info
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Carrai, S., 'Il sonetto "Una candida cerva" del Petrarca. Problemi d'interpretazione e di fonti', in Rivista di letteratura italiana III (1985) pp.233-251.
ペトラルカ『カンツォニエーレ』190番に現れる雌鹿のモチーフの解釈と出典を探る研究.結構大事なことがわかったらしいので隙を見て読みたい.

2017-07-25 20:40:33 @ncrt035@gnosia.info
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2014年に出た『哲学するミューズ:ローマ詩へのギリシア哲学の影響』(Garani, M., Konstan, D., (edd.), The Philosophizing Muse: The Influence of Greek Philosophy on Roman Poetry)に収められている,I. Ramelliの論文'Manilius and Stoicism' (pp.161-186)の要約だけ覗き見.
『アストロノミカ』の専門的・技術的側面に圧されてその哲学的要素は見劣りすることがしばしばあったが,この著作が占星術のテキストブックとしては成り立たないものであると明らかになってきたことを踏まえ,この作品をルクレーティウスをモデルにしつつストア思想を展開するものとして解釈する,と.
特別新しい論点という感じではなさそうだが,政治との関わりも論じられているようなのでちょっと記憶に留めておく.
amazon.com/dp/1443859753/ref=c

The Philosophizing Muse: The Influence of Greek Philosophy on Roman Poetry (Pierides): Myrto Garani, David Konstan, Myrto Garani: 9781443859752: Books
2017-07-25 20:58:32 @ncrt035@gnosia.info
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Thomson, G., 'Simplex ordo', in Classical Quarterly N. S., vol. 15 (1965), pp. 161-175.
語順入換によるテクストの破損とその復元を扱った論文.主に俎上に上げられるのはアイスキュロスのオレステイア三部作.
語順入換はデタラメに書いたために生じるのではなく,散文的に判りよく書き改める仕方で発生する.古註のなかでτὸ ἑξῆς ... (= ordo est ...)のように言い換えてあるケース,変化してしまった語順が後の修正により直されるケースなどを豊富に挙げて,Thomson自身による修正案の提示も行われる.
この種の破損のメカニズムを知るためには古註の研究が有益であること,またそのことを多くの実例に即しながら学べる.この方面の研究手法に関して著者はW. Headlamに多くを負っているようである.

2017-07-26 11:59:45 @ncrt035@gnosia.info
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'The material for learning what transcribers do consists in the various readings of their MSS.; but to find out what their mental habits were you must study scholia; there you can see the ways their intelligences worked, the things they consider puzzling, and the way they deal with them.'
Headlam, W., 'Transposition of Words inMSS.', in Classical Review vol. 16(1902): p. 247.
ウォルター・ヘッドラム,古註(スコリア)を学ぶ意義について.

2017-07-26 22:27:41 @ncrt035@gnosia.info
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ボヘミア(チェコ)で用いられた中世ラテン語の辞典.
使用感がDu Cangeの中世ラテン語辞典デジタル版に似てると思ったら同じ方式で作成しているようだ.
lb.ics.cas.cz/

Latinitatis medii aevi lexicon
2017-07-27 19:26:29 @ncrt035@gnosia.info
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Adkin, N., 'The etymology of « segnis » in Vergil', in L'antiquité classique 76 (2007): 171-176.
《不活発な,無気力な》という形容詞segnisを,sine igniあるいはse igni《火がない,火を欠いた》という語源から理解されたと考えてウェルギリウス『農耕詩』や『アエネーイス』の詩句の解釈を試みる.
註に上がっているO'hara, J. J., True Names: Vergil and the Alexandrian Tradition of Etymological Wordplay, Ann Arbor, 1996が興味を惹く.
いわゆる民間語源(Volksetymologie)や古代の学者の語源説明が古典テクストの理解(場合によっては校訂)に有用なケースは少なくないので,フェストゥスやイーシドールスは日頃から参照して慣れておきたいところ.

persee.fr/doc/antiq_0770-2817_

2017-07-27 20:59:18 @ncrt035@gnosia.info
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ἑξῆς, τό ------(単語の)順序,並び.τὸ ἑξῆς· ἔλθοι, ὅπως γένοιτο.《語順は次のごとくである,すなわち「来たれ,~となるように」》
(schol. Aeschyl. Eum. 297f.)
[※原文(ἔλθοι, κλύει δὲ πρόσωθεν ὢν θεός, | ὅπως γένοιτο τῶνδ' ἐμοὶ λυτήριος.)のδέによる節が挿入句であることを示すための語順整理が古註の意図]

2017-07-28 20:10:39 @ncrt035@gnosia.info
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Di Giovine, C., 'Note sulla tecnica imitativa di Manilio', Rivista di filologia e di istruzione classica 106 (1978): 398-406.
マーニーリウスとルクレーティウスの関係を取り扱った研究としてH. RöschのManilius und Lucrez (Kiel, 1911)があるが,Röschはこの二者に集中するあまり,むしろウェルギリウスやオウィディウスとの関連を考慮すべき箇所までルクレーティウスにひきつけてしまっている節がある.『アストロノミカ』におけるその他の詩人からの「混淆」(contaminazione)を,これまでの指摘を取りまとめつつ新たなポイントを付け加えながら探る論文.

2017-07-28 20:32:22 @ncrt035@gnosia.info
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Sauvage A., 'Les insectes dans la poésie romaine', Latomus 29(1970): 269-296.
ラテン詩に現れる昆虫を取り扱った論文.I. Insectes divers, II. Les abeilles, III. La Cigale, IV. La fourmiの四部からなる.
要約を読むと,ラテン文学の中で昆虫に割り当てられる位置は非常に限定されていて,蜜蜂,蝉,蟻また蜘蛛を除くと,大体においてあまり重要でない,あるいは有害な存在と見なされているようである.
ギリシアの昆虫については,Davies, M., Kathirithamby, J., Greek Insects, Oxford UP 1986というのがある.