小勝禮子さんが「開化の風景 イギリス、アメリカと日本」という論考を載せていて、「筆者は十九世紀のヨーロッパ版画を専門とする者だが」から始まっており、「え、小勝さんってジェンダー論じゃないの?」とおもいつつ、まじでジェンダー系の議論ではなかったんだけど、ふつうにおもしろかった。
高橋由一にトンネルを描いた絵があるけど、あれを土木の文脈から読んでいる。文明開化をあらわした錦絵がおもちゃのような汽車を描いたのに対して、由一は自然と拮抗するものとしての人間の技術を描いている。小勝さんは、由一のそういう視点をターナーの汽車の絵と比較している。