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2017-08-02 21:04:03 Niceratus Kiotoensis님의 게시물 ncrt035@gnosia.info
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Tarrant, R.J., 'The Reader as Author: Collaborative Interpolation in Latin Poetry', Grant, J.N.(ed.), Editing Greek and Latin Texts, New York, Ams Press, 1989: 121-162.
ラテン文学における改竄(interpolation)の発生メカニズムを扱った論文.著者は改竄を(1)訂正(emendation),(2)註解(annotation),(3)共作あるいは競作(collaboration, emulation)の3つのカテゴリに分けて考えることを提案する.特に第三の区分では読者が「共著者」(co-author)のごとき役割を果たしていると考えられる.
この研究は著者のOCT版『変身物語』の校訂にも活かされ,また現在ルクレーティウスのトイプナー版を準備しているDeufertがこの詩人の改竄問題(Pseudo-Lukrezisches im Lukrez, 1996)について論じる際にも参照した議論なので重要である.

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Tarrant, R., Texts, Editors, and Readers: Methods and Problems in Latin Textual Criticism, Cambridge University Press, 2016.

オックスフォードからオウィディウス『変身物語』の校訂版を出した著者が古典研究のうちでも重要でありながらなかなか近づきがたい本文批判(textual criticism)について書いた本.
附録として校訂版に附属しているapparatus criticiの読み方(ラテン語の略号)や写本名に用いられるラテン語の地名表記一覧が付いていて便利.
『変身物語』におけるinterpolationの問題については以前紹介した論文があったが(gnosia.info/@ncrt035/721 ),この本の第5章(interpolations, collaborations, and intertextuality)でも論じられているから,これからはこちらも見たほうが良いかも.

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Blank, D. L. (1983), 'Remarks on Nicanor, the Stoics and the Ancient Theory of Punctuation', in Glotta LXI : 48-67.

『句読点について』(Περὶ στιγμῆς)という著作で知られる句読点学者のニーカーノールの文法理論をホメーロスの古註を通して探る.特に彼の理論体系がストア派のそれから発するものであることが論じられる.

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Dähnhardt, O.(1894), Scholia in Aeschyli Persas, Leipzig, B.G. Teubner.

デーンハルト校訂アイスキュロス『ペルシアの人々』の古註のエディション.『ペルシアの人々』に関しては古註の参照に困ることが多い.

archive.org/details/scholiaina

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Scholia in Aeschyli Persas. Recensuit, apparatu critico instruxit, cum praefatione De archetypo codicum Aeschyli, scripta