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いまのところ、巷(マストドン限定の巷)で噂のスパム被害にはまだまったく遭っていませんが、意味あるのか分からん中途半端な予防策として、フォロー関係にない人からのDMのみブロック設定にしています。

本当はフォロー関係にない人からの通知全般をブロックするとよいという指南を見たのですが、私の場合は往々にして、通知欄に出てくるのは、読書タグから読んだものの感想を見にきてくれたと思われる一期一会の人のお名前だったりするので、これがすべてなくなるのも寂しいよ(かまってちゃんです)。

まあ、もしも実際に鬱陶しい通知が来るようになったら、とりあえずスパム内に頻出する語句をフィルターに設定して弾いてみるつもり……このままなにも来ないのが、いちばん嬉しいけど。

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多崎礼『煌夜祭』(中央公論新社,2023年11月/初出:中央公論社C★NOVELS,2006年7月/底本:中公文庫,2013年5月|短編「夜半を過ぎて 煌夜祭前夜」初出:『C★N25』C★NOVELS,2007年11月)

かつて新書ノベルズと文庫で刊行されたデビュー作を、新たに単行本として出しなおしたもの。本編のほか短編2つを収録、また巻末には番外編がもうひとつ読めるQRコードあり。

中心の島とその周りに三重の円環をなす17の島々からなる「十八諸島」における共通の文化として、冬至の夜に仮面をつけ本当の名前を隠した「語り部」たちが集い、夜通し話を語る「煌夜祭」。本来なら祭が成立しないような廃墟にやってきた、ふたりの語り部たちが繰り出す物語から、この伝統的な行事に秘められた背景や、この世界にどうしても生まれてきてしまう「魔物」という存在の意味が、じわじわと明らかになっていく。

いろんな情報が読者に伏せられた状態から静かに始まり、物語同士の接点や重なりが少しずつ少しずつ示唆されて全体像が見えてくるので、脳味噌フル回転で頭のなかに図を描いていくことになる。

〔つづく〕

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〔つづき〕

語り部が語る物語のなかにさらに語り部が登場する入れ子構造と、物語の核となる部分が継承されていく連鎖構造が並立している、趣向を凝らした構成。思い思いの装いでそれぞれに志を持って語り部たちが夜語りをする光景のイメージが美しい。

そして、この小説がこの著者のデビュー作だと知るとなおさらに、「物語」そのものが持つ力への信望が頼もしい。

出版社の『煌夜祭』特設ページには、2020年以降の冬至の夜にSNS上で実施されている煌夜祭(語り部として参加したファンによる物語投稿)ログへのリンクと、著者による毎年の新作番外短編が掲載されています。さらに少しずつ、この世界の解像度が上がっていく仕組み。
chuko.co.jp/special/raytasaki/

〔了〕

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煌夜祭 特設ページ|中央公論新社