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【読了】
盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』第25巻(秋田書店,2023年5月)

これまで関係性が断片的に垣間見られるだけだったタビコとヴェントルーの回、わりと予想どおりのノリだけど終盤で「おお」→「あああ!」って。だいぶおかしなひとであるタビコさんの、本来ものすごく格上のはずの相手を「手玉に取ってる」感じがたいへん好きでした。

あと前の巻の最終話でのナギリさんの不穏エンドに呼応するように、この巻もナギリさんで終わっていて、徐々に心境の変化が表れてきているところからのさらなる不穏。

「共感性ショットさん」の話は、読んでるこちらも共感性羞恥が激しくてなんか直視できず……がんばれ。

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真紀涼介『勿忘草をさがして』(東京創元社,2023年3月)

とある事情で鬱屈を抱えていた高校生男子が、偶然出会った園芸達人のお兄さんおよびその祖母との交流、そしてお兄さんが解明してくれる、植物知識がキーとなったさまざまな日常のなかの謎を通じて、だんだんと心持ちを変えていく連作短編集。

家族との関係や学校生活に対する、主人公の姿勢の変遷と並行するように、お兄さんと主人公のあいだがらも徐々に対等になっていき、最終話では主人公自身が謎や事情の解きほぐしに前向きに自力でかかわっていく。青春ものの王道的なすがすがしさがあって、心地よく読めました。

植物にまつわるうんちくが楽しく、また美しい庭を眺めながらのお茶とお菓子の時間の描写が毎回素敵で、とても羨ましい。