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Mo Xiang Tong Xiu "Heaven Official's Blessing: Tian Guan Ci Fu" 第4巻(訳:Suika/Seven Seas Entertainment, 2022年9月/原書:墨香銅臭《天官賜福》3巻・4巻〔平心出版,2021年8月〕/原文初出:墨香铜臭《天管赐福》北京晋江原创网络科技有限公司 晋江文学城,2017-2018年)

原書(台湾版)3巻の178頁5行目から4巻の74頁12行目に対応しています。

過去編の地獄展開のあと、原書3巻相当部分はそこそこ気楽に読めるかと思いきや、もうひとりの絶境鬼王がからむこのあたりもだいぶきついね? 主人公たちがラブコメの波動を発して「はわわわ」みたいになってるあいだに、気がつくとほかが大変に苛烈を極めた絶望的なことに。もちろん、謝憐はおひとよし神さまなので自発的に巻き込まれにいく。

〔つづく〕

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〔つづき〕

また花城はなにがあっても謝憐を支える究極の味方だと認識していたけど、それは必ずしも謝憐の意思に従うことと同義にはならないし、鬼には鬼の仁義があってそこは人道とは違う理屈なんだということも分かってしまう。でも謝憐はそれもことわりとして受け入れているんだよな。

これまで好感度高めに描かれていたキャラクターたちの隠されていた面が露呈する巻でもある。原書4巻の序盤に当たる部分に入ると、まさかあのひとに裏の顔などって思ってたキャラまでも。まんまと作者に踊らされているよ。本当にもう誰も信じられないな、この作品! やっといま全体の半分ちょっとでしょ!?

他方では、半月ちゃん関連の言動でだいぶイラッとさせられた裴茗が、その後の任務遂行の際にはなかなか理性的かつ有能な神さまでしかもちょっと不憫な目に遭ったりするので、なんか気持ちがソフトになってしまった。

〔つづく〕

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〔つづき〕

少年武神の奇英殿下こと権一真も、初登場時はただの変なやつだったけど、がっつり出てくると独特の可愛げがあって好き。『鬼滅の刃』の伊之助くんが好きというのと同じ文脈の好きですけど。伊之助くんよりだいぶ駄目なとこありますけど(神さまなのに!)。

そして謝憐は、ミッションをこなすごとに名探偵っぷりが板についてくる。のほほんとしているようでいて、騙されにくい。気付かずにいれば平穏だったかもしれないので、染みついた運の悪さが発揮されているとも言う。

次々と謝憐の目の前に転がってくるさまざまな事件が解き明かされることによって、それまでに読み取ってきた情景の見え方ががらっと変わってしまったり、それでもあとあとまで少しずつ謎が残されていて、ずっとうっすら尾を引いていたりするので、本当に気が抜けない。過去についても、作中現在の謝憐の言葉や状況からすると、まだ語られていない、さらにしんどい話があるはず。

〔了〕