ルーカーヌス『内乱』1巻8行(Luc. 1. 8)のquae tanta licentia ferriという何とも訳しにくい表現が大西先生の邦訳では《かくも激しき,何という剣の暴戻》と見事に表現されていて感激した記憶があります.
licentiaは《積極的な自由》というよりも,ちょうど「免許license」が「本来禁止されていることが免じて許されている」ことであるように,《箍が外れて出来る,許可されている》という感じなので否定的なニュアンスを帯びるとこういう感じになるのだと.
一例にカエサル『内乱記』(Caes. Civ. 1. 21. 2)でコルフィニウムを攻略しようとするカエサルは,しかし夜間に占領することを避けるのだけれども,その理由が《兵の侵入と夜という時の放縦さによって町が掠奪されることを恐れた》(veritus ne militum introitu et nocturni temporis licentia oppidum diriperetur)ため,という箇所などが挙げられそう.