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Mo Xiang Tong Xiu "Heaven Official's Blessing: Tian Guan Ci Fu" 第3巻
(訳:Suika/Seven Seas Entertainment, 2022年7月/原文初出:墨香铜臭《天管赐福》北京晋江原创网络科技有限公司 晋江文学城,2017-2018年)

台湾で刊行されている墨香銅臭《天官賜福》第3巻(平心出版,2021年8月)をちょこちょこ確認しながら読みました。

現在2巻まで出ている日本語版は全6巻の台湾版に準拠した巻分けと章立てですが、全7巻予定の米国版はどうやら現在非公開となっている中国の有料Web版から直接訳したものに、独自の章番号を付けているみたいです。〔追記:ここは間違い〕

この米国版第3巻には台湾版2巻のラスト5分の2くらいから3巻の178頁4行目までに対応する部分が収録されています。

謝憐の地獄のような過去の話にいったん区切りがつけられ(しかしあんなにしんどい展開だったのに、まだ1度目の「追放」も語られてないんだよな)、物語の舞台はふたたび800年後、作中の現在時間に戻ります。

〔つづく〕

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〔つづき〕

一転して、初心なドジっ子・謝憐のヒロイン力と、なにがあっても謝憐の味方な絶境鬼王・花城のスパダリ力が炸裂する、比較的軽やかな筆致に。

とはいえ、謝憐があまりにも苦痛に鈍感で平然と開き直っているのは、これまでに受けた仕打ちのせいで麻痺しちゃってるからなので、その点では胸が痛くなりはする。

また神さまたちの中秋節の祝い方が意外と俗っぽい虚栄に満ちていたり、謝憐がまたしても女装姿でおとり捜査に乗り出したり、謝憐のメシマズがもはや凶器レベルだったりといった話を楽しんでいるあいだにも、天界や鬼界でいろんな思惑や因縁がうずまいていることがうかがわれる。普段は陽キャで天真爛漫な風の神・師青玄を幼少期から付け狙っていた「白話真仙」の存在が明らかになるに至って、今後に予見される不穏さはぬぐえない。

それにしても、まあ本当に、謝憐の「ヒロイン」としてのポテンシャルがものすごい巻ですよ……太子殿下で武神(でガラクタの神で疫病神)だけど……。

〔了〕

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こちらでも特定の投稿を「プロフィールに固定表示」できることを、いま突然、思い出しました。