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椹野道流『祖母姫、ロンドンへ行く!』(小学館,2023年4月)

去年ネットで公開されてすごく話題になってた旅行記の書籍版。著者が若かりし頃に、80代のお祖母さまのお供でロンドンへ行ったときのことを、ずっとあとになってから振り返っている。

豪遊資金を出してくれた伯父さまたちの期待を一身に背負って、お祖母さまにとって最後の機会となるであろうこの海外旅行のアテンドを、完璧にやりとげなければならない。

お祖母さまの体力的な制約に配慮しつつプライドも傷つけないようにしながら、ときに突発的に繰り出されるありとあらゆる要望を叶えていく、スリル満点の高難易度ミッション。

独自の審美眼を確立しており、常に自信に満ち、周囲からの尊重と賞賛を当然のものとして要求する「姫」ことお祖母さまの言動はしかし、我儘と言えば我儘なんだけど、ぜんぜん嫌な感じがしない。

〔つづく〕

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〔つづき〕

そして嫌な感じがしないのは、「祖母姫」のその自己肯定感が、それまでの彼女の手抜きのない努力、やるべきことを全力でやりきって生きてきた姿勢によって裏打ちされているからなんだなってことが、読んでてはっきり分かるので、こっちもピッと背筋が伸びてしまうのだ。

それはそれとして、庶民には縁のないゴージャスなロンドン体験の描写にはわくわくするし、旅先でふたりが出会う、サービスのエキスパートたちが皆さん素晴らしい。

でも彼らがこんなふうに親身になって接してくれたのはきっと、お祖母さまのためにひたむきに頑張っていた年若い著者の真摯さと、お祖母さまからにじみ出るお人柄のチャーミングさのおかげでもあるんでしょうね。

書き下ろしで追加されたエピソードは、「祖母姫」が直接かかわっていないのでネット版にはなかったのだと思いますが、著者ご自身にとっては大切な出来事。ラベル付けや時空的な距離にとらわれない人と人の関係の自由さと貴重さ、みたいなことを考えて、厳粛な気持ちになりました。

〔了〕

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ソフトバンク提供の迷惑電話ブロック機能、もしかしてソフトバンクの人からの営業電話も警戒してくれちゃってる?(サイレント着信していた番号をいまネットで検索して確認したのです。)

いや、いいんだけど。ありがたいんだけど。

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↓えー。もうめちゃくちゃ夏服っぽい感じで週末のおでかけを想定してた……。

【暑さきょうまで 寒暖差に注意 週末以降「10年に1度の低温」】
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