2017-10-09 13:45:14 @ncrt035@gnosia.info
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Dickey, E., Ancient Greek Scholarship, Oxford, Oxford UP, 2007.

ギリシア古典を多少詳しく読むようになると,古典のテクストそのものだけでなくそれに対しての古代からビザンツ時代に至るまでの学者たちの研究・註釈に触れる機会が出てくる.
古典作家と比べるとそうした著作家たちについての研究は進度が遅く,あまりちゃんとした校訂本がなかったり,かなり古い文献まで参照しなくてはならないことが少なくない.
また使われる語彙・語法についても非標準的なものやテクニカル・タームの類も多く,普通の辞書では対応できないことがある.
こうした際に心強い参考書となるのがこのDickeyの本である.
各古典作家についてどのような古代の研究があるか(また標準的なテクスト,参照すべき文献)を概説し,古辞書や古註に現れる表現の実例,文法関係の簡単な語彙集,コメント付きの詳しい文献表が収められている.

2017-10-09 13:50:26 @ncrt035@gnosia.info
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ウェルギリウス『農耕詩』でうまい修正を思いついたと思ったら他の人がすでにやっていた上によく考えたら別にうまくもなかったという無な記事を書きました
stromateis.info/zib/Verg_G_1_1

2017-10-10 12:54:54 @ncrt035@gnosia.info
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Pasquali, G., 'Ricordo di Michele Barbi', Pagine stravaganti di un filologo II, Firenze, Le Lettere(1994): 434-451.
(= Rend. Accademia d'Italia, 1942: 67-83).

20世紀イタリアの文献学界において重要な位置を占めるミケーレ・バルビ(1867-1941)についての,同じく20世紀イタリアの古典文献学者ジョルジョ・パスクァーリ(1885-1952)による回顧録.バルビの生涯とその仕事,また人柄についての記述がある.

特に興味を引くのは,Enea Piccolominiから多くを学んだと自認していたなどの古典文献学との交流である.
パスクァーリは自身の伝承研究,varianti d'autoreの問題についてバルビが評価し採り入れてくれたことを誇らしく語りつつ,こうした着想の先駆けとしてバルビの『デカメロン』研究があったことを明らかにしている.両者の間には相互に影響し合う関係があったと考えることができるだろう.

2017-10-11 19:30:37 @ncrt035@gnosia.info
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Thury, Eva M., 'Lucretius' Poem as a Simulacrum of the Rerum Natura', American Journal of Philology 108(1987): 270-294.

ルクレーティウス『事物の本性について』を,現実世界(rerum)の本性(natura)を表す模造(simulacrum)として捉える解釈を試みる.
その際に鍵になるのが,あらゆる感覚はそれ自体としては真であるというエピクーロス派の知覚理論である.
エピクーロスによれば幻を見ている人も存在する何かをしかし誤った仕方で見ているということになるのであり,対象に感覚の注意が向けられること(ἐπιβολὴ τῶν αἰσθητηρίων)によって明確な表象が獲得される.
同様にルクレーティウスの詩も,様々なイメージ(simlacrum)を謂わばヒントのように示しながらエピクーロスの教えという真理へ向かわせる道のようなはたらきをしていると考えられる.
論文の後半ではそうした手法の実例として愛の女神ウェヌスの描かれ方が取り上げられる.

2017-10-11 19:32:30 @ncrt035@gnosia.info
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面白いけど結構込み入った論文なので内容の理解と要約の正確さにあまり自信がない… とりあえず言語化しときたいという感じ.

2017-10-12 14:54:26 @ncrt035@gnosia.info
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Macからもssh接続できるようにした

2017-10-12 20:28:25 @ncrt035@gnosia.info
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v1.6.1になりました

2017-10-13 17:20:31 @ncrt035@gnosia.info
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「肯定の返事を含むγάρ」というのがあって,つまり説明されるべき言明が省略されているケースのひとつなのだけれど,具体例がないとピンと来にくい.その点でアイスキュロス『ペルシアの人々』348-349は好い例であると思う.
ペルシア軍の敗退を知らせる使者(ἄγγελος)と女王とのやりとり.

ΒΑ. ἔτ᾽ ἆρ᾽ Ἀθηνῶν ἐστ᾽ἀπόρθητος πόλις;
ΑΓ. ἀνδρῶν γὰρ ὄντων ἕρκός ἐστιν ἀσφαλές.
アテーナイの都は今尚滅ぼされずにあるのですか.
(はい,)人々が無事であれば城壁も健在でありますから.

2017-10-13 21:02:17 @ncrt035@gnosia.info
アイスキュロス『ペルシアの人々』1-2行(P = Par. gr. 2787; 14世紀)
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ΑἸCΧΎΛΟΥ, ΠΈΡCΑΙ
Τάδε μὲν περσῶν τῶν οἰχομένων
ἑλλάδ' ἐσ αἶαν πιστὰ καλεῖται·

gnosia.info/media/-EUIiMQHamkl

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2017-10-13 21:25:07 @ncrt035@gnosia.info
アイスキュロス『ペルシアの人々』234-236行(P = Par. gr. 2787; 14世紀)
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ΧΟ. πᾶσα γὰρ γένοιτ' ἂν Ἑλλὰς βασιλέ(ως) ὑπήκοοσ.
ΑΤ. ὧδέ τις πάρεστιν αὐτοῖσ ἀνδροπλήθει(α) στρα(τοῦ);
ΧΟ. καὶ στρατὸc τοιοῦτοc, ἔρξασ πολλ(ὰ) δὴ μήδ(ους) κακ(ά).

[MEMO: 236行の行頭καὶの上にναὶ《そうです(肯定の答え)》が書き込まれている(Cf. Dawe, R.D., The Collation and Investigation of Manuscripts of Aeschylus, Cambridge UP, 1964: 173f.)]

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2017-10-13 21:27:48 @ncrt035@gnosia.info
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あれれ,CWで「テキストを隠す」にすると自動的に画像が閲覧注意になって隠れてしまうぞ… 前はそんなことなかったと思うけどどっかいじったら戻せるのだろうか.