そう言えば、世田谷文学館の森薫・入江亜季展、ジブリ美術館の君たちはどう生きるか展・背景美術編(前期)と、両方とも手書きの力を示すもので、どちらに行っても「書き込みがすごいねぇ」という声が聞こえる展示でしたが、自分がみると対称的な要素も多かったように感じます。
森薫・入江亜季の原画は(アシスタントはいるけれど)基本的に「本人が書きたいものを本人が書ききる」ので、本人の変化も明確に絵に現れる一品ものであり、効率は求めない描かれ方をしていて、とことん書き込まれています。
君たちはどう生きるかの背景美術は(書き手の創意工夫はあれど)基本的に「宮崎駿の作りたい世界を設計通りに具現化する」ので、レイアウトという設計図にしたがっているし、(それぞれは一品ものでも)数百枚以上描かれ生産効率も担保していて、よく見ると省略すべきところは大胆に書き込みを省略しているのが分かるのです(それでも、差し渡し10m以上のスクリーンに引き延ばされても破綻しない書き込みなのは恐ろしい話ですが)。
…というような楽しみ方をするひとはどれくらいいるんだろう(苦笑)