原稿本編の執筆に戻ります
小柄な人間の男の形をしたものが、中空の糸を摘まむような手つきで静かに腕を差し伸べると、ユハの身体は震え、天を仰ぎ、弓のように反りかえり、オレンジの皮を剥くように内側から反転した。
「そして人間としての表皮は樹皮に、骨は芯材に、骨髄は導管に、すべての神経はゆたかな根に、主根は赤土に奥深く降り、側根を巡らせ、この森のあらゆる椰子、シダ、ラワン、マンゴーの根と結びつき、瞳は千々に分かれ、引き伸ばされ、葉緑体の光を帯びて、肺と胃に連なり、ほどかれた血に紡がれた葉脈、人に内包された海は眠れる百の花芽の中に、人に内包された土は新たな百の言葉の中に」
唱えられる呪文に従ってユハの身体は人間の形を失ってゆき、引きずりだされるようにして、一本の樹木へと変じていった。人の背丈とほとんど変わらない、細っそりとした幹が生え、中空の虚を埋めるように形成を進め、たちまちに枝葉を茂らせた。人間の形のまま根元に残され痙攣していた両腕もやがてそれぞれ枝と根に落ちついた。そして最後に、樹木と人間のまぜこぜのような赤い虚の内側からもがく両腕が突きだされ、身を食い破られる激痛におそらくユハは悲鳴を上げたのだが、樹木に声はなく、震わせる肉体もなく、人間の身体には存在しない化学物質がその全身をすばやく駆けめぐり枝葉の味をわずかに変えただけだった。
https://kokyushobo.com/book/trees_light/introduction/
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ひとり反省会
・制限があれば一時間で1000字書けるんだな(普段は日産300字の日もふつうにある)
・とはいえ一時間制限の即興小説なので直したいとこは多い
・これバトルシーンでいいのか???
・良い感じの魔法詠唱をその場で考えるのはムズイ
・魔法バトルよりも箒にフェティシズムが向いている(…)
▼ここまでの(存在しない)あらすじ
・ドラゴンの群れにちょっかいを掛けたところから逃亡します
・いわゆるハイファンタジー世界で、魔法は一般に存在するものとします
*
耳元を羽音が掠めた、と思う間も無く背中に激痛が来た。
豪雨の中、唯でさえ滑る箒をかろうじて握りしめ、肩越しに視線を向ければ、小さなドラゴンが蹴爪を振り翳しながら何頭も旋回しているのが見えた。小さな、といっても山犬ほどの大きさで、次にまともに喰らえばひと溜まりもない。さらに、烟る雨の向こうに薄っすらと見えるのは、考えたくもないが、おそらく群れのボスだ。鯨と見紛うほどの巨大な翼が、ひどくゆっくりと羽ばたきながら、こちらを追いかけてくる。巨体なだけあって飛翔速度は遅いが、手負いの今となってはいつまで飛び続けられるか分からない。あいつの炎の射程圏内に入ったらそれで終わり、空中で消し炭にされて跡形も残らないだろう。
喉から溢れようとする悲鳴を舌打ちで追いやり、背中の出血を片手で拭う。雨に洗い流されるよりも早く呪文を唱え、箒の柄に赤く紋を描いた。樹皮の内側に眠らせていた蔓の新芽を叩き起こす。
魔力を注ぎ込まれた箒が震え、ガクンと重力に囚われた。自由落下。振り落とされないように半身を箒に引きつけ、滑る柄を必死で握りしめる。蹴られた右肩に力が入らない。長い数秒の果てに手の中で樹皮がざわめき、節の間からぶわりと噴き出た蔦が腰に絡みついた。胸のあたりまで圧迫されて息が詰まったが、ともかくこれで両手を離しても箒から落ちることはない。浮力の戻った箒を急旋回させ、めちゃくちゃな軌道で加速した。ドラゴンの翼は小回りが利かない。小さい奴らはこれで振り切れる。
問題はあいつだ。冷たい雨の吹き荒ぶ中を高速で飛び続け、歯の根ががちがちと鳴った。じきに速度を保てなくなり、あの巨大なドラゴンに追いつかれる。なんとかして倒すしかない。
頭上で雷鳴が長く尾を引いた。覚悟を決め、その場で旋回してドラゴンに向き直る。距離およそ四百、こちらが風上、豪雨に閉ざされてはっきりとは見えないが、間違いなく、怒りを激らせた巨大な金の瞳が、まっすぐにわたしを射抜いている。鳩尾から湧き上がる怖気を飲み下し、両手で宙空に円を描いた。箒全体を魔法の杖に、編み込まれた枝葉の先々まで意識を集中させる。
「天を轟かすものよ、」
雷を使役する魔法だなんて、一介の魔女に扱える訳がない。
可能なのはただ一点、この身に突き刺さる視線を手繰り寄せ、その視線の元へ、輝く金の両眼へと、力が流れる座標を固定すること。
真っ白な閃光が視界を灼いた一瞬に、詠唱を完成させる。稲妻が天を裂き、魔力で穿った導に沿って走った。耳を弄するほどの轟音が、ドラゴンの断末魔を掻き消した。
テキストライブ、試行錯誤分も出してくれるの嬉しいな〜
でも正直そんなに書いた記憶ないんだけど 最終的に1000字だし ほんとかコレ…?
バトルシーンを書こうとしたものの、バトルシーンって…何…??って感じになった わはは
2024年03月22日 執筆記録
3,969文字分試行錯誤しがんばりました!!
https://txtlive.net/u/feelingskyblue/cert #テキストライブ #執筆記録
RE: https://misskey.design/notes/9r66zf7nze
ハイファンタジー
の描写練習がしたくなったので書いていきます
前後の本編なし、書きたいところだけ
一時間程度で終了の予定です〜
https://txtlive.net/lr/1711109566732/w1711109567154
ライブシーンのある小説
1990年代を舞台にした架空のロックバンドの小説シリーズ#Drive_to_Pluto より『ミッドナイト・ヘッドライト』『flat』
サウンドも性根もシューゲイズな10代の青春を書いた2作品。
やばいギタリストとやばいドラマーに魅入られてしまったベーシストの「俺」くんの将来はいかに。
https://libsy.net/dtp
#小説 #創作バンド #SeasideBooks
ハイファンタジーにおける生活と生態系をガチで創りあげてる作品として、ダンジョン飯はほんとに凄いと思うよ…
分厚い設定本も最初から最後まで面白い 憧れのひとつ
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中高時代に書いてた二次創作ハイファンタジー、いつかオリジナルでリブートしてえなあ……オリキャラ祭りで完全に原作から逸脱したあげく挫折したやつ……
冒頭で戦死した若い王様の幽霊を取り憑かせることで現世に留めてる少年が主人公でした(どっちも原作に全く存在しない)
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(もしかしたら への
だったかもしれないと今思い至りましたがそちらは今後にご期待ください)(ハイファンタジー書きたい気持ちはずっとある…)
運動をしたい訳ではないのだが、健康と体力と集中力維持のために運動せざるを得なくなってくる
これが30代か…