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【八王子市夢美術館 夢美セレクション展】
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美術館が収蔵・管理しているもののなかからの展示。

清原啓子(1955-1987)の銅版画5点を目当てに観に行ったんですけど、明治時代の小説本の口絵に使われた木版画コレクションのコーナーも面白かったです。当時の単行本の現物展示もあり、この頃の装丁デザインがけっこう、いまの感覚で見ても洒落てるなあと思ったり。

清原啓子作品、同じ美術館で2014年に大量展示をやったんですね。えーん、この頃にこの作家さんを知ってたら、絶対に行ってた。
yumebi.com/acv62.html

八王子に縁がある洋画家のコーナーもありました。96歳で逝去する直前まで制作を続けていたという大野五郎(1910-2006)については、85歳でヨーロッパ旅行したときの風景画作品(そこそこ大きい)なんていうのも展示されてて。

思わず我が家の高齢者たちと同じくらいのお歳のときだよなあって引き比べてしまい、「なんてお元気な」とか……いやいやいや、キャプションに感嘆するんじゃなくて、もっと純粋に作品を鑑賞しようよ私。

「夢美セレクション展」 | 展覧会 | 八王子市夢美術館
銅版画家 清原啓子の宇宙 | 過去の展覧会 | 八王子市夢美術館
美術館の入口の写真。ガラス張りの両開きの自動扉の手前に、大きな看板があり白地に黒で「夢美セレクション展」とロゴが入っている。 ロゴの下に、どちらかというと抽象的なタッチと暗めの色調で緑色の樹々と赤茶色の洋館が描かれた油彩画(大野五郎による「赤と緑の風物」)が印刷されている。 絵の下に「2025年2月8日[土]-3月23日[日]」という日付が書かれている。 看板の左側に、膝を立てて座っている人物の銅像がある。
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読了:
獸木野生 『パーム44 TASK Ⅸ』(新書館,2025年3月)

約3年ぶりの新刊。ずっと同じこと言ってる気がするけど、以前のエピソードでいったん、主要登場人物たちの人生が最終的にどうなっていくのかのダイジェストが一気に開示されており、そのすでに漠然と見えている物語の結末へのカウントダウンがどんどん進んでいくので、余計にハラハラする。

表層的にだけ見れば悲劇に終わるひとも、おそらく実際にそのときが来たら、そんな単純な描かれ方はされないんだろうというのも予想されるし。結末分かっているのに、先が見えなくてどきどきしている。

この巻でついにカーターとジャネットが結婚するところまで来た。シリアスな展開が続くなかで、妊娠をめぐるジャネットとジェームスの、ビアトリスの件を踏まえたやりとりはテンポ感も相まってちょっと笑える。しんみりさせられる部分もありつつ。

そしてジェームスは妻子とともにアフリカへ。都市文明の世界から去る前に残した置き土産の発明品は、今後どういう役割を果たすのか、それとももしや、役割を持たないことにこそ意義があったりするのか。