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多崎礼『レーエンデ国物語 夜明け前』(講談社,2024年4月)
シリーズ第4作。蒸気機関が発明されていた前作からさらに時代が進んで、外洋航路の開拓により「新大陸」との交易が始まっている。
聖イジョルニ帝国の圧政下に置かれたレーエンデの民が、団結して抵抗する気概を持てないほど力を削がれてしまっている状況が長期にわたって続くなか、この巻では支配層側であるイジョルニ人の名家の血筋を持つ異母兄妹が、それぞれの立場からレーエンデ人の解放を最終目的として動きはじめる。
この巻で起こることのきっかけを作ったのは第3巻での成果であり、さらにそれは第2巻での戦いと布石に基づいており――と、第1巻の時代から数百年にわたって、連綿と歴史がつながっている、その流れがここに来てはっきりと見えてくることに感慨を覚える。
〔つづく〕