何か知らん、とても良かった。
何が良いんだろう。後味が良い、って言うのじゃ、話にならんな。
同じ一人の人間が、あるときは「何だこいつ、馬鹿やってんな、まるで駄目じゃん」と見えたり、別の時には「おお、かっこ良えやん」と思えたりする。そういう人間たちが寄って集まって、何とかバランスを取りながら、特にドラマチックとも言えない日常の物語を作っていく。熱狂させるものは無いけれど、憎むべきほどの愚劣はここには無い。すべての人間が、かなりテキトーに、おだやかに、肯定されている。
いや、現実の世界ではもっと簡単にバランスが崩れて不幸な(または邪悪な)人間が生まれるという考え方もありうる。しかし、この映画が提示する考え方は、そうではない。そこにこの映画の美点がある。