2017-08-01 15:37:29 @ncrt035@gnosia.info
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esse infinitis distantia semina formis (Lucr. DRN II 497)
OQでfeminaの誤記.Oの修正でsemina.

2017-08-01 17:11:21 @ncrt035@gnosia.info
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δηλονότι ------ 明らかに,すなわち(lat. scilicet).
τύχην ] τὸν οἰωνὸν δηλονότι (schol. Aeschyl. Ag. 1653 (in F))

2017-08-01 21:00:38 @ncrt035@gnosia.info
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Collard, C., 'Colloquial Language in Tragedy: A Supplement to the Work of P. T. Stevens', Classical Quarterly 55.2(2005): 350-386.
Stevensの『エウリーピデースにおける口語的表現』(Colloquial Expressions in Euripides, Wiesbaden, 1976)への書評(Classical Review 28(1978): 224-226)を出発点として書かれた,悲劇における口語的表現を扱う論文.
定義・概略を述べた後,9つのカテゴリに基づく表現をエウリーピデースに限らず悲劇全般から集め,またStevensの基準に当て嵌まらないが口語的と見なせるものを追加する.最後にStevensの著作・それに先立つ論文,およびこの論文を含めての索引と文献表が付く.
ギリシア語の口語的表現を知るのに好適な研究.

2017-08-02 11:10:41 @ncrt035@gnosia.info
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Ginsberg, W., '«Ovidius ethicus» ? : Ovid and the medieval commentary tradition', Paxon, J.J., Gravlee, C.C.(eds.), Desiring Discourse: The Literature of Love, Ovid through Chaucer, Selinsgrove, Susquehanna UP, 1998: 62-71.

中世におけるオウィディウス像の研究.
オウィディウスの追放の因が道徳の紊乱であったとすると,キリスト教中世においてこの詩人のイメージが「道徳的な教師」(ethical pedagogue)に変容したことは驚くべきことに思われる.
12-14世紀にかけてオウィディウスの恋愛詩が宮廷風恋愛詩などに影響を与えると,その性的な要素や奔放な性質を無視して,この詩人の作品をethicalなものとカテゴライズし説明・解釈しようとする傾向があったようである.

2017-08-02 11:22:23 @ncrt035@gnosia.info
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たとえば『恋の技法』へのある註釈にはsiquidem uidens Ouidius iuuenes et puellas quasdam tempore suo ex impericia amoris periculum incurrentes, alios cogi ad laqueum, alios ad suspendium, ne amplius tale quam patiantur, eos in amore peritos reddit.
《オウィディウスは当時の青年たち娘たちが恋への不慣れのために危難に面して,輪縄にかかったり縊れたりする破目になるのを目にして,もうこれ以上そのような不幸が起きぬように彼らに恋愛の手ほどきをするのである》
とその執筆経緯を説いてある(kb.dk/permalink/2006/manus/375

2017-08-02 21:04:03 @ncrt035@gnosia.info
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Tarrant, R.J., 'The Reader as Author: Collaborative Interpolation in Latin Poetry', Grant, J.N.(ed.), Editing Greek and Latin Texts, New York, Ams Press, 1989: 121-162.
ラテン文学における改竄(interpolation)の発生メカニズムを扱った論文.著者は改竄を(1)訂正(emendation),(2)註解(annotation),(3)共作あるいは競作(collaboration, emulation)の3つのカテゴリに分けて考えることを提案する.特に第三の区分では読者が「共著者」(co-author)のごとき役割を果たしていると考えられる.
この研究は著者のOCT版『変身物語』の校訂にも活かされ,また現在ルクレーティウスのトイプナー版を準備しているDeufertがこの詩人の改竄問題(Pseudo-Lukrezisches im Lukrez, 1996)について論じる際にも参照した議論なので重要である.

2017-08-03 08:37:41 @ncrt035@gnosia.info
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etheriis(=aetheriis) ] Bonincontrius et omnes edd.; aeternis ] codd.
Man. II 83
aetheriusとaeternusの取り違え

2017-08-04 20:33:15 @ncrt035@gnosia.info
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Nichols, J. H., 'On Leo Strauss’ «Notes on Lucretius»', Brill's Companion to Leo Strauss' Writings on Classical Political Thought, Leiden: Brill, 2015: 76-94.
ブリルのコンパニオンシリーズにレオ・シュトラウスの古代政治思想論を対象にしたものがあって,その中の「ルクレーティウスについての覚書」を取り上げた論文を見つけた.「ルクレーティウスについての覚書」自体は『リベラリズム―古代と近代』(石崎嘉彦・飯島昇蔵他訳,ナカニシヤ出版 2006)に入っている模様.

2017-08-24 20:06:40 @ncrt035@gnosia.info
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Kleve, K., 'Lucretius and Philodemus', Algra K.A., et al.(eds.), Lucretius and his Intellectual Background, Amsterdam: North-Holland, 1997: 49-66.
一匹狼的に捉えられがちなルクレーティウスを,ヘルクラーネウムのピロデーモスを中心としたエピクーロス派サークルの一員としてその関係を考察する論文.
着々と明らかになりつつあるピロデーモスの著作と,そこに見出されるルクレーティウスとの共通性(またエピクーロスとの相違点)を非常に明瞭に呈示してくれていて興味深い.ただ両者の関係については否定的な見解もあり,異論の方もよく検討しておきたいところではある.

2017-08-25 20:51:13 @ncrt035@gnosia.info
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Lévy, C., 'Lucrèce et les stoïciens', Présence de Lucrèce : actes du colloque tenu à Tours (3-5 décembre 1998), Tours : Centre de recherches A. Piganiol , 1999: 87-98.
Sedleyなどがルクレーティウスをfundamentalistとして捉え,その論争の中での同時代の思潮やストア派への参照の可能性に否定的な態度を示したのに対し反論を試みる.
Lévyの与える結論としては,ルクレーティウスの論争の中には紀元前1世紀頃の,プラトニズムの色合いを帯びたストア思想の姿が認められるというもの.

2017-08-28 20:16:45 @ncrt035@gnosia.info
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sed solus, uacuo ueluti uectatus in orbe (Man. Astr. II 138)
《むしろ独り,さながら空っぽの競走場を進んでいくように》

orbeに対してHousmanはnon caelum significat sed circum, gyrum equestremと註をつけていてそれはそうだけれども,直前に《こうした主題を星々へまで運んでいきたい》との詩人は言っているわけで,orbisの多義性を意図的に用いているなら背景に天を飛翔する詩人像を了解しても悪くない.むしろ意味をひとつに限定することには慎重になったほうがよいかも.

2017-08-28 20:44:11 @ncrt035@gnosia.info
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Classen, C. J., 'L'influsso di Giorgio Pasquali sulla filologia classica in Germania', Giorgio Pasquali e la filologia classica del Novecento, Firenze: Olschki, 1988: 135-158.
ジョルジョ・パスクァーリがドイツの古典文献学に及ぼした影響について.
パスクァーリの古典文献学者としての形成にはゲッチンゲン留学にはじまるドイツの古典学者たちから受けた教育・交流が非常に大きな役割を果たした.
彼のホラーティウス研究にはフリードリヒ・レオの,不朽の名著Storia della tradizione e critica del testoにはエドゥアルド・シュヴァルツの存在が感じ取れるし,こうした彼の業績もまたドイツの学界へ影響を与えたのであった.
イタリアの古典文献学者には反ドイツ主義に陥った人々のあることなどを思うとパスクァーリとドイツ古典文献学の関係はとても重要であると言える.

2017-08-29 18:53:29 @ncrt035@gnosia.info
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Diego Lanza, Gherardo Ugolini編,『古典文献学の歴史』(Storia della filologia classica),Carocci, 2016.
18世紀中頃から,つまり近代的文献学の誕生以降を扱っているようである.こんな本が出てたのは把握してなかったので機会があったら入手しとこうかしらん.
carocci.it/index.php?option=co

2017-08-29 20:05:40 @ncrt035@gnosia.info
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Longo Auricchio, F., 'Su alcuni ἅπαξ nella « Retorica » di Filodemo', Cronache ercolanesi 39 (2009):103-106.
ピロデーモスの『レトリカ』に出てくるハパクス・レゴメナ(一度しか使われない,他に出てこない単語)について.
ἀπροσλογίαは《デタラメな言葉》,συγκαταγαπάωはエピクーロスが『ピュートクレース宛書簡』で用いたκαταγαπάωに基づく新造語であると.
ところでἀπροσλογίαはDiccionario Griego-Españolにもちゃんと採録されていた.

2017-08-29 20:13:08 @ncrt035@gnosia.info
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「近代的文献学の誕生以降」と書いたのは不正確なので訂正.いきなりラッハマンの話から始まっているわけではなくて,第1部はリチャード・ベントリーから.ラッハマンのことは第2部に出てくるようである.