#読書
村井理子『実母と義母』(集英社,2023年10月)
離れて暮らしているあいだに末期の癌を患っていた実のお母さん。認知症の進行が著しく介護が必要な義理のお母さん。ふたりに対する思いを率直に語るエッセイ。それぞれまったく異なるタイプでもあり、共通する点もあり。母娘のあいだには好意もあり、軋轢もあり。納得しがたいこともあり、解けゆくわだかまりもあり。
著者とは同世代なので、私たちが子供だった頃の「主婦」および「母親」がとらわれていたであろう、いま自分があの立場だったら違う選択をするよな、というような価値観や制約は、自分の記憶を探ってみても実感が湧くなー。
って、どうしてもこんなふうになんとなくヒトゴトっぽい表現になってしまうのは、私自身のなかにもいろいろこういうテーマではうずまくものが実際には存在するんだけど、この著者のように詳細に振り返って言語化する能力や胆力がないからなんだよな、という自覚はあります。特に胆力。
〔つづく〕