4月1日はインターネットが悪ノリで機能しなくなる日です。
例のゲーム、頒布開始しましたー。
https://suteakaunto.booth.pm/items/4660422
とりあえずWindows版のみ。
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#おたそー春のもりかぷさん祭
おれはもりかぷ、疲れたプログラマーだ。
丸の内にはおよそ20万人のサラリーマンがいるが、そいつらがどういうわけだかシステムを使いたがるもんだから、おれは馬車馬のように働いてそいつらにアプリケーションを投げつける。
おれはこの仕事が好きだ。忙しいから好きだ。コードを書き、デバッグをし、プロジェクト・リーダーにドヤされ、営業がよこしてくる要件を蹴り飛ばし、モニタを殴るために振り上げた拳でガムボトルを掴む。日々本業に精進しながら、帰宅すれば鯖缶。モニタを眺めながらキーボードを叩き続ける毎日で、息を抜けるのなんて飯、風呂、パチンコの最中くらいなもんだ。
今日は久しぶりに丸一日の休暇で、十時過ぎまで眠りこけていた。いつもは使わない掛け布団だって使った。でもそのせいで寝覚めが悪い。髭を剃りながら背後で渦巻く眠気は蛇のようにとぐろを巻いて、おれの首筋に噛みつくタイミングを伺っている。
だが、悪いな。おれは今日うどんを食う。うどんを食うために、外に出るんだ。
叫びたくなるほどの浮遊感をこらえて靴を履いて街へ飛び出す。声変わりしていない子どもの金切り声、爆音でカーステレオを垂れ流す車、横に大きく広がって歩く女学生どもすべてにツバを吐きかける想像しながら、最近出来たうどん屋へ向かう。
来店は二回目だ。今回は自分の食べたいものを頼む。かけうどんに舞茸の天ぷら。五五○円。
開店セールだというのに閑古鳥が鳴き散らかしており、おれもおれであのバグをどう潰してやろうか架空のキーボードを弾きながら入店したのが前回。うまいとわかってて食うのが今回。メニュー選択に迷いはない。おれは今日、舞茸天うどんを食う。
1人なのでカウンターに通される。テーブルもあるにはあるのだが、この店はカウンターこそ特等席だ。目の前で天ぷらの揚がるのを見て我慢のなることか。油の焦げる薫りと弾ける音とがたまらない。
目の前で鶏肉と舞茸が放り込まれて数分、油からあがったそれは皿に盛られ、コンマ数秒でおれの元へ運ばれる。揚がってから一桁秒の天ぷらは人間の食べられる温度ではないことは承知の上で箸を入れる。あまりの高温に耐えきれず湯気のようなものが立つ。舞茸が香る。
程なくしてかけうどんが運ばれてくる。関西風のようで、色は薄めだ。しかし出汁の味がよくする。意識の朦朧としたおれの脳天を穿つ。先ほど切り分けた舞茸の天ぷらを熱々の汁に一瞬だけつけると、ジュッという音がした。舞茸天の断末魔だ。悲壮な叫び声をきいたおれは、そこから留まることなくめちゃくちゃにうどんをすすって舞茸天に食らいついた。ザクザクとした衣の厚い舞茸の天ぷらが出汁と合わさり、おれの口内で暴れまわる。冷ます、バラすなんて女々しいことはしない。おれのように強い男は、何事に対しても全力でぶつかる。
しかし、美味い。揚げたての天ぷらの香ばしさとあご出汁はここまで人を幸せに出来る。おれの舌が熱さに悲鳴をあげているが水を与えて黙らせる。コシのあるうどんをすすり、木匙で汁をすくって飲み、サクサク感を損なわない程度に出汁につけた舞茸天を一心不乱に貪る。
気がつくとうどんがなくなっていた。皿を見ても天ぷらがない。あるのは切られそこなった油だけだ。ご馳走の残滓におれは舌なめずりをした。追加で天ぷらでも頼むかと考えつつ水を飲んだところ、舌の表面が、上顎が逆立っていることに気づいた。軽い火傷のようだ。私は報酬の冷水を口のなかに送り込む。
一息ついて、午後の予定を練る。パチンコでハンドルをひねる、球がたくさん出る、それで公共料金の支払いを済ませる。
完璧だ。
おれはもりかぷ、完璧な一日を過ごす完璧なプログラマーだ。