West, M. L.(1973), Textual Criticism and Editorial Technique, Stuttgart, B.G.Teubner.
ホメーロスやアイスキュロスの校訂を始め多くの優れた仕事で知られる古典文献学者M. L. West (1937-2015)が本文批判についてまとめた書.150頁程度とコンパクトながら本文批判や校訂テクストについての基本的な考え方を知るための最初の一冊として優れる.
全体は,テクスト伝承の性質や「校合 recension」にあたっての問題,異読の判断や「修正 emendation」といった事柄について述べられる第1部,実際に校訂本文を作っていくにあたっての編集上要求される知識や技術が整理される第2部,具体的な古典テクスト(ギリシア語・ラテン語,韻文・散文から採られる)を挙げ,編者の目としてそれをどのように判断していくかという実践例が示される第3部という構成になっている.