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Schiesaro, A.(1994), 'The Palingenesis of De rerum natura', Proceedings of the Cembridge Philological Society 40: 81-107.

『事物の本性について』のplot(筋書,企図)に焦点を当ててこれを明らかにすることを試みる論文.

字母の反復に関してFriedländerの研究などを踏まえつつ,字母の集積としての詩がアトムの組み合わさった総体としての世界のmicrocosmになっているという指摘にまで議論を進める.

その上でこの詩全体における生から死への推移(1巻冒頭のウェヌス讃歌から6巻末尾の疫病と死)を取り上げ,単に生から死へという一方的な動きにだけ着目してpessimisticな解釈をするのではなくその中にある反復・再生のモチーフを分析していく.

非常に面白い論文なのだけれども,イントロで展開される話が少し捉えづらく感じた(こちらの勉強不足の可能性大)ので,躓いたら先に具体的な分析を追っていくのが良いかもしれない.