#読書
おーなり由子『いとしい服 ようふくとわたしのはなし』(大和書房,2024年12月)
『りぼん』の漫画家さんとして著者の名を記憶していましたが、近年は絵本やエッセイ等でご活躍なのですね。
私はおーなりさんより年齢は少し下なのですが、親が子供の服を縫うというのがわりとよくある話だった時期があったことは覚えています。私も幼児の頃はあれこれリクエストをして、ワンピースやスカートを作ってもらっていました。でも、おーなりさんのお母さまは、そんな時流のなかでも、とりわけ洋裁がお上手だったみたい。近所の人に教えたりするほど。娘のウェディングドレスだって縫えちゃうほど。
本書に収録された、洋服にまつわるエッセイを読んでると、著者のなかで、これまでの人生の思い出が洋服と密接に結びついているのが分かります。そして、その思い出の多くは、お母さまとの思い出でもある。
本文を補完するように添えられているイラストが、どれもとてもお洒落でかわいい。見ていると、自分もきれいな色のお洋服が着たくなってくる。
着るものと精神状態が連動することが、のびやかに肯定されているのも、なんだかホッとします。