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斎藤美奈子『あなたの代わりに読みました 政治から文学まで、意識高めの150冊』(朝日新聞出版,2024年5月)

『週刊朝日』(2023年5月をもって休刊)に掲載されていた490冊分の書評コラムから、150冊を厳選。10年続いた連載中、対象作品の選択は自由だったそうで、不本意に取り上げられた本はありません。

それにしても、政治や社会問題に関するものから、文学作品、自己啓発書、タレント本に至るまで、守備範囲が広い。いや、私の守備範囲が狭いというのもあるのか。それなりに「あ、そういう本、あったね」とか「これ私も読んだ本だ!」とか思えたのは、文芸書パートのみでした。

と、いうわけで、「世の中にはこんな本があるんだ!」って感心しきり。そしてまた、きびきびとしているけど親しみも感じさせてくれる文体による的確な本の内容紹介と、斎藤さんがその本と向き合ったときのスタンスがはっきり分かる潔いコメントが、(雑誌連載だったんだから当たり前ではあるんだけど)きっちり同じ文章量でまとまってページをめくってもめくっても続いているのが、小気味よい。

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読了:
伊藤理佐『おんなの窓 わたし現在3K編(加齢・介護・韓国)』(文藝春秋,2024年6月)

日常エッセイ漫画。巻末広告によると、これの前に巻数付きの単行本が第6巻まで出ている。自分の記録を確認したところ4巻までしか読んでなかった。おおっと。

ほぼ同世代なので、いまの近況と言えば足腰の衰えとか親御さんの突然の入院とか、まあそういう話題どうしても入ってきますよね、とうなずくことしきり。

第4巻(2012年)で出産が語られたお嬢さんも、もうお母さんと一緒にBTSを楽しんでいる。やっぱ韓国ポップス強いなあ。世代を越えての共通言語に。

ハマった勢いで韓国語も習っている伊藤さん。ティッシュを口の前にたらす指導法(伊藤さんの先生はそれやってないみたいですが)の話があり、ほうほう、もしかして韓国語でも、中国語みたいに(用語は違うかもしれないけど)有気音と無気音を使い分けたりするんです!? って興味深かった。

作画資料として撮影を頼まれた、ご夫君(吉田戦車さん)がTシャツを脱ぐ動作の連写がスマホに入っていて、いま他人に見られるとマズい、とか漫画家夫婦ならではの大変なお話も楽しい。

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フランシス・ハーディング『ささやきの島』(絵:エミリー・グラヴィット/訳:児玉敦子/東京創元社,2024年12月/原書:Frances Hardinge "Island of Whispers" Illustrated by Emily Gravett, 2023年)

死者の魂が留まって災いをもたらしてしまう土地。それを防ぐには、渡し守が船に乗せてしかるべきところへ送り届ける必要がある。しかし渡し守は殺され、息子であるマイロ少年が、搬送を阻もうとする者たちに追われつつ船を操るしかなくなってしまう。

父親がマイロの性質を見抜き、危うさを感じてこの仕事から遠ざけてきていたにもかかわらず、まさに懸念されていたように、父の教えとは違うかたちで死者たちの魂とかかわりはじめてしまうマイロ。その迷い、戸惑い、そして決断。

死者を送る物語であるにもかかわらず、責務を次の世代へと託していく大人と、未来へ向かう若者の、希望を感じるお話でもありました。

青と黒の2色刷りの挿絵がたくさん入っていて、とても素敵です。シンプルな力強い線のなかに、繊細さもあるように思う。

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@mayumihayashi あらためておさらいしてみたら、パスティーシュとしてコメディっぽく書かれた現代作品だけでなく、原典からなかなか楽しそうな世界でした>西遊記(抄訳しか読んでないけど)。

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@usagiya Kindleから作品が削除されたというの、私の記憶ではジョージ・オーウェルの『動物農場』かな……と検索してみたら、2009年にそういうことがあったみたいです。『1984年』もやられてました。
weblio.jp/content/%E3%82%AA%E3

うさぎ屋さんがご記憶の事件はまた別かもしれませんが。

ここのところの趨勢、本当に嫌な感じですね。

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オーウェル事件とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書
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木曜深夜24時から始まるニコ生放送を見ようと思ってがんばって起きていたが、眠さ限界かもしれない。実は3週連続で諦めてタイムシフト予約して日付が変わる前に寝ちゃってる。夜更かしできない人になってしまった。

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@usagiya ↓裁判これかも……。

ミシガン州の高校生ら、アマゾンを集団代表訴訟の構え--G・オーウェル「1984」削除で
japan.cnet.com/article/2039769

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ミシガン州の高校生ら、アマゾンを集団代表訴訟の構え--G・オーウェル「1984」削除で