icon

ここ数日、なんか胃をやられてしまって最低限のことだけなんとかこなしながらどよどよと過ごしていた。ちょっとストレス溜めると覿面に胃をやられるタイプと自覚しているにもかかわらず、食べられないので余計に体力が削られる問題への最適解を、この数十年に及ぶ人生のなかでいまだに見つけられていない。

体力を削られた状態でどうしても必要があって普段行かないところへよろよろとお出かけをしたら体温が37.2℃まで上がったので、お? ここからさらに高熱を発するようになったら発熱外来に行ったり検査を受けたりしないといかんの? と思っていたが、半日で下がったので結局そのままなにもせずその後は自宅でごろごろしていた。

まだ胃は本調子でなく、今日も食べられたものはお粥とアイスって感じです。そしてもともとあったストレス源については、動けなかったあいだは保留にしていただけで、なんの解決もしていない。保留にしていたぶん対応が遅れているのでむしろ追い詰められ感が出てきていますがどうしよう。

icon


仲町鹿乃子『代官山あやかし画廊の婚約者』(富士見L文庫,2023年9月)

天涯孤独となった恵茉が、祖父の遺言に従い身を寄せた屋敷の若き主人は、なんと恵茉の婚約者だという。彼は画廊を営む傍ら、怪奇現象を引き起こす絵画を鎮める仕事をしていた。それには特別な力を持つ職人が作ったお菓子が必要で、幼い頃から恵茉が祖父に仕込まれていた、ジャンルを問わない製菓の技術は、そのためのものだったのだ。

勝手に決められたことばかり。しかし恵茉はいい子なので、読んでる私のように「ふざけんな」とか言わない。自分にしかできない役目があることを悟り、果敢に真摯に取り組んでいく。

とある事情で引っ込み思案な女の子だった恵茉が、情報収集のため知らない人に会いに行ったり、失態からの信頼回復を頑張ったりしながら、その過去の事情をも精神的に乗り越えられる強さ、自分の在り方を自ら選べる強さを得ていくのが眩しい。

また画廊主人と恵茉が仕事上の相棒として助け合いつつ、互いを知り気持ちを近づけていくさまの描かれ方が暖かく、ふたりで託された絵画の背景を読み解き、ふさわしいお菓子を推理していく過程が面白かった。