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新海誠『小説 すずめの戸締まり』(角川文庫,2022年8月)

監督ご本人による小説版。映画は未見です。

先日、新井素子『南海ちゃんの新しいお仕事』を読みながら「この世ならざるどこかへ通じている場所を閉じていく話」って、最近ほかでもそういう感じのあらすじ紹介を見たぞ、と思ってしまったのです。手に取ってから、これ3月に読むにはしんどいほどタイムリーなやつだ、と気付きました。あれから12年。

理不尽に命が奪われたり、人生に不可逆な痛手を受けたりする大きな自然災害をどう捉え、受け止めていけばいいのかということを真摯に考える人のアウトプットのひとつとして読みました。ただ、個人が前に進んでいくために、個人(複数であっても)の意志で人知れず「ああいったもの」を封じ込められるっていう物語に身を委ねることに、そこはかとなく不安はあるな……。そして同時に、そんな物語を胸に抱いてでも、その後を前向きに生きていけるならそれは肯定すべきなのでは? という気持ちもある。

アニメとしては、きっと素晴らしい映像なのだろうなと思います。メインキャラのひとりが(ほとんど)椅子かよ! っていうのも含めて。

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冬のあいだつやつやとした黄色いお花を見せてくれていたツワブキさんも、すっかり綿毛仕様に。

ツワブキの花だったものが白い綿帽子状になって茎の先端に8~9個ついている写真。
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