昭和後期の日本社会に多様性がなかった感じを僕なりに寓話化すると、いまのような調子になるのでした。
今はまた表に書かれた選択肢が増えている。でもその選択肢の数は人によって違うんだ。そして、選べるからといって、その方が幸せとも限らない。でも、昔は誰もが一つの選択肢しか選べなかったんだ(と記憶している)。それよりはちょっとだけマシなんじゃないの?
「次の表から選ぶことができます」と言ってるのに、実際の表には一つしか選択肢が書かれていない。僕が80年代頃の社会に感じていた窮屈さとは、例えて言えばそのようなものだった。一つしか選べないならなんで表にするの? 昔はもっと選択肢があったの? みたいなことを漠然と思っていた。
夢の中で取り返しのつかないことをして、目が覚めてから「ああ、夢でよかった」と思うことがしばしばある。現実の方が夢より過ごしやすいことの幸せを、とりあえずは噛み締めたい。