話題の条例の話、子どもにちょっと関係ある仕事をしてる身からすると、個人的な疑問点がある。

現在、虐待だと疑われるものを発見したらすべての市民に通告の義務があり、子どもに近しい職業の人間とかはさらに早期発見の努力義務がある。
けれど、まず通告するのは児童相談所で、3ケタでつながる児童虐待ホットラインの189も児童相談所の管轄で、通告された情報をもとに調査・介入するかどうかの判断がされるっていうプロセスになってるはず。

だから、話題の条例の記事を見たときに「虐待を見たら110番」ってなってたことにすごい疑問を抱いた。なぜいきなり110番……？ 児童相談所の存在がすっ飛ばされてて、条例の話題をしてる人もいきなり警察が来る？ってなってて、いやいろいろおかしい……ってなった。
(実際、親が子に酷く手を上げてます、って事例でも、即警察が来るケースはほとんどないはず。よほど今すぐ命の危険がない限り)

条例考えた議員の人々が子育てについて知らないのは前提として、児童虐待の介入のプロセスの制度や仕組みももしかしてすっ飛ばしてるのかな……ってなってしまった。それに自治体の条例なら管轄の児童相談所に特例の権限を付与するみたいな形になる気がする。とりあえず延期されてよかったけど、いろいろ腑に落ちない。

正直、今の児童相談所に虐待が疑われる家庭にすぐ飛んできて保護者と子どもを引き離すような、そこまで強い権限はない。明らかに虐待と疑われても、まず状況確認と支援計画を考えるところから入るのが基本になってるはずだから。

児童相談所に通告義務があるというのは、悪者を通報するっていうよりも、介入が必要な家庭の情報を伝える、っていう意味合いのほうが強いと思ってるので、「すぐに110番！」って話題の条例で言われてたことで、余計に虐待が疑われる家庭に介入がしにくくなるんじゃないか……っていう懸念もある。児童相談所or警察が来る=社会的に終わり、みたいなイメージがどんどん流布されてしまう……。

そもそも今の児童相談所って全然人員足りてなくて、一人当たり持ってるケースが膨大で、わりとパンク状態のところも多いはず。児童虐待を本当に解決したいならそのへんからなんとかしないといけないよな……。