これ、「自分がわかってないことの中にも重要なことがあるはず」と考える姿勢をうっかり共通の前提にしてしまってよくないね。
「自分が今、よくわからないってことは、それにはたいした価値がないんだ。それにこだわっている人もたいしたことないんだ」と決めつけてしまう人もたくさんいる。というかわたしだってそうなる危険は常にある。なってるかも。
そのへんの対応はわりと確立してるビジネスでもいろんなことが起こるのに、ましてやそれ以外の人間関係で、多種多様なイシューについていちいちここから始めるのはまあほんとに大変。大変なんだけど、でもこれを完全に放り出してしまいたくもない。けど大変。
雑な「教養」否定をするインフルエンサーは、大人なのに「聡い子供」として褒められたそうな人が多いように見える。ああこの人は、勘のよさとか、斬新っぽい物言いとかを褒められたいのだなと。
でも、子供が言えば褒められるかもしれない内容であっても、大人どうしの間では陳腐だったり、考えが浅すぎて対話に堪えないものだったりすることがほとんどだ……ということに気づくためには、はしっこい子供が得てして苦手とする地味で泥臭い勉強や、手痛い評価と向き合うことが、ある程度必要なんだよね。
大人になってもそういうものから逃げて、なおかつインターネットでインプレッションを稼ごうとすると、主張がどんどん、なんかのマルチ？ 霊感商法？ みたいになっていくからおもしろい。マーケティングとしては正解なのかもしれないが。
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「教養」という言葉は、それをどのレイヤーで何を指して使っているのかはっきりさせないとややこしいから、わたしはあまり使いたくないのだが、ということをまず前置きしておいて。
教養の重要性を説かれると、知識の量の重要性を押しつけられていると受け止めて反発する人たちがいるのは知っている。確かに知識の量（だけ）が教養の深さを決めるのではないと思うから、その反発には理由があると思う。
ただ、そうやって反発する人たちは、それでは教養とは何か、何が大切だと思うのか、といった議論をそれ以上深めることはせず、「教養（笑）」で終わってしまってつまらないので、それはわたしが与する姿勢ではない。
何について自分が何を知っているといえるのか、どのあたりから自分にはまだわかっていない（から知り、聞き、考えるべきな）のか、を常に念頭に置いておく態度がどれだけ身についているかが大切なのだとわたしは思っている。
あらかじめ何もかも知っていることが必要なのではなくて、意見を言ったり表現したりする前に、そこに自分がまだ知らないことや考えるべきことがないかどうか、ざっくり検討することが大事なんだと思う。
知らないことを知るまで、意見を言ったり表現したりしちゃダメなのでもなくて、少なくとも「知らないことに気づいている」なりの言い方や表現を工夫することはできる。
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