中田考著「イスラームから見た西洋哲学」読了。
たまたま西洋哲学の解説書が2冊続いた。本書は様々な西洋哲学者の考えをイブン・タイミーヤを初めとするイスラーム法学者らの考えと対照させるところが流石にユニークで、硬軟織り交ぜた文体もよかった(おそらく体調が悪くて打ち込みと口述が混淆しているのでしょうが)。
1900年に没したニーチェが「今後2世紀はニヒリズムの時代だ」と予言した通り真偽善悪が揺らぐ中、一見それらしい社会課題に右往左往することはニヒルの深淵から目を反らしているだけで、ニヒルの闇を直視しないと希望があっても見えてこないというメッセージは厳しい。畳み掛けるような「おわりに」の数ページを何度か反芻したい。