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早寝の人は「眠っているあいだになんか始まって終わってた!?」状態ですね。夜更かししてた人たち(と起きた人たち)の頑張りで展開がスピーディだった韓国。余波はあるんだろうけど。

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菰野江名『さいわい住むと人のいう』(ポプラ社,2024年9月)

とある地方都市の端っこにそびえる、大きな洋風のお屋敷には、老姉妹がふたりきりで住んでいる。

第三者視点の2024年の章から始まり、そのあと飛び飛びに過去のことが語られる。少しずつ明らかになってくる姉妹それぞれの、かたちの違う苦労。最初の章で、認知症が始まってしまっている姉のほうが、なにげない言葉に敏感に反応して、この家は自分が稼いだお金で建てたのだということを強調していた背景。ふたりで暮らす理想の家という目標をめぐる、各々の思い……。

いくつかの分岐点で、どちらを選んでもたぶんそれはそれで間違いではなかったのだろうと思うんだけど、少なくとも自分たちで選択してきた結果の初志貫徹である、流されてたどりついた場所ではないという矜持が心に刺さる。目の前に迷える後進の者がいれば、同じく自分の道を見出せるよう手を差し伸べていく正義感と、恩を受けた人たちのなかにその記憶が根付いているという事実も。

ピンと背筋の伸びた姉と、やさしげながら芯が通っている妹の姿、そして美しい庭に囲まれた洋館が、目に浮かぶようでした。