#読書
乾石智子『月影の乙女』(東京創元社,2024年10月)
ずっと続いている〈オーリエラントの魔道師〉シリーズとは別の世界を舞台とした単独作品。
イーリアという精霊のような獣たちが人々と共存し、民のすべてに基本的な魔力が備わっている国ハスティア。なかでも突出した才を持ち正しい訓練を経て資格を得た者が、フォーリと呼ばれる職業的な魔法師となる。
主人公は、とりわけ大きな魔力を備え、身の内に伝説のイーリア〈月の獣〉を宿して最年少でフォーリ候補生となった少女ジル。ひとりで生まれひとりで死ぬ人間が畢竟、孤独であることを常に訴えかけてくる〈月の獣〉の声を聞きながら、人とのかかわりを知り、社会の中で生きていく。
〔つづく〕