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夢の中で、玄関のドアを誰かがガンガン叩いていて、いやインターフォン鳴らしてくれよ、こんなに激しく直接ドアを延々と叩きつづけるのって、たぶんまともな訪問者ではないな、警察を呼ぶべきでは……? と怯えているうちに目が覚めた。

こういうときって、現実にもずっとなにかを叩く音がしていて、それが眠っているあいだも実は聞こえていて夢に反映されていた、というのが定番パターンなのではないかと思うのですが、現実の室内はしーんとしていた。

ただ、頭痛で頭がガンガンしていた。この「頭ガンガン」が、夢の中では「音」として認識されていた、ということなのか? ちょっと面白かった。頭痛は要らんけど。

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多崎礼『レーエンデ国物語 月と太陽』(講談社,2023年8月)

シリーズ2冊目。時代は前作よりも少しあと、自治区だったレーエンデは帝国の行政に組み込まれてしまっている。「序章」で前後の歴史の流れが説明され、物語の主人公のそのなかでの位置づけがあらかじめ明らかにされるのは、前作と同じパターン。

ただ今回は、この序章で明かされる主人公の後世での異名が、実際に始まった物語において一途な心を抱いたまま成長していく真面目な少年と、あまりにもそぐわない。

もうひとりの主人公である少女との出会い、役割を果たすための離別、思わぬかたちでの再会と、その後の共闘……どきどきさせてくる展開に夢中になりつつも、あの序章があったために、常にうっすらと、結末に対する疑問と不安が拭い去れないまま読み進め、最終的にはこの世界のさらにその先の時代へと思いを馳せながら本を閉じることに。

脇役キャラもそれぞれ印象的で、1作目より人間関係が入り組んでいてずっしりボリュームありましたが、ぐいぐいページをめくりました。