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@zingibercolor
@zingibercolor@pawoo.net
お嬢様言葉で愚痴り続ける狂人(くるいんちゅ)ですわ
webライターをしつつ趣味で小説を書いている虚弱人(きょじゃくんちゅ)でもありますわ
一次創作小説『子々孫々まで祟りたい』更新中
https://novelup.plus/story/321767071
https://www.pixiv.net/novel/series/8915945
https://kakuyomu.jp/works/16817139555138453871
https://ncode.syosetu.com/n9035il/
欲しいものリストhttps://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/19D0UK0K6I4Z?ref_=wl_share
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このタイミングで実装された「要約」の選択肢に「ツイッター」があるのおもろい 死んだ鳥がなんだって?
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ごまかしごまかしやってきたが、いい加減、髪を切らないといけないと思う。人に会わない在宅仕事だが、髪を整えてヒゲを剃っておかないと、たまに外出した時に周囲から向けられる不審者を見る目つきがきつい。平日昼間なら、なおさらだ。
幸い、今日は仕事と仕事の合間の日で、やるべきことは全部やって納品完了している。次の仕事はまだクライアントからの詳細待ちなので、時間はある。ただ、散髪には駅前まで行く必要があるのと、俺の調子が今日はそこまでよくなくて、駅前まで出かけると後で布団直行だろうなというのと。
「どうしようかなあ……仕事的には今日を使うのが一番なんだけどな」
伸びた髪を触りながらぼやいていたら、朝の食器洗いを頼んでいた怨霊(女子大生のすがた)(命名:千歳)が台所から戻ってきた。
『今日は暇なのか?』
「うーん、クライアントの連絡がいつ来るかにもよるけど、たぶん今日は一日あく。だから髪切りに行きたいんだけど、どうしようかと思って」
『行けばいいじゃないか。なんかあるのか? 散髪する金ないのか?』
悲しすぎる心配をされた。千歳の顔が割とマジなのが、よけい悲しい。
「いや、流石に千円カットくらい行ける。悩んでるのは費用じゃなくて」
『千円カットって、なんだ?』
千歳はきょとんとしていた。
「え、そこから!?」
言われてみれば、昭和に千円カットはまだなかったかもしれない。手元のスマホで調べてみたら、なるほど千円カットは九十年代から出現したという記述があった。
「ええと……文字通り千円台で髪切ってくれる床屋のこと。床屋としては一大ジャンルかな。駅前に千円ちょっきりで切ってくれる所があるから、そこに行きたいんだけど」
説明すると、千歳は心底ビビった顔になった。
『千円!? そんなんで儲け出るのか!?』
「回転率よくして薄利多売でやってるんだと思うよ、時間十分しかかからないし」
『そんなんでまともに切ってくれるのか?』
「今の俺の髪型も千円カットだけど」
『うーん……まあ、まともか……』
「で、費用的にも行けるし、タイミング的にも今日行ったほうがいいんだけど、正直あんま調子よくなくてさ……出先でへばるの怖いから、行き帰り、付き添ってもらえたりしない?」
『ついて行くのはいいが、たかが散髪に無理してどうするんだ』
「今日を逃すと、なかなか切りに行くタイミングわかんないんだよ……調子いい時は仕事にあててるしさ、起きてられる体調で、なのに仕事は暇ってこと、実はあんまりなくて」
仕事があるのはありがたいことだが、こういう問題も起きる。体力さえあればある程度解決するのだが、体力増進のためにやっている朝晩のラジオ体操はまだ効果を発揮していない。
「切ってる間、外で待ってもらうことになると思うけど、いい?」
『十分しかかからないんだろ? 適当に外でぶらついてる』
「助かる。十時に開く千円カットだから、それに合わせて駅前まで行こう」
『わかった、もしお前がへばったら、かついで帰れるようにしとくぞ』
「……なるべくそうならないようにがんばります……」
千歳が、何かあったとき俺をかつげるようにと、ガタイのいいヤーさんの格好で行こうとしたので、どうしてもかつがなきゃいけない時に人目のないところでなってくれればいいからと言って止めた(女子大生の格好でついてきてもらうことになった)。
『あの床屋か?』
「そう、もう開いてるね」
『待ってる間、近くのコンビニ入っててもいいか? いつもは使わないから見てみたい』
「わかった、そこで適当に待ってて」
返事してから、何も買わないと決まってるのにコンビニをうろつかせるのもどうかと思って、付け加えた。
「コンビニの、そんなに高くないお菓子なら一個買うよ。臨時出費ってことで俺が出す。なにか選んどきな」
『え、いいのか!?』
たかがお菓子一個のことだが、千歳の顔がパッとほころんだ。
『どれにしようかなあ、コンビニって品物たくさんあるんだろ』
「まあ適当に選んどきな、髪切ってくるね」
きっちり十分で散髪は終わり、千歳はもうお菓子選べてるかなあと思いながら、俺はコンビニに入った。
『あ、大丈夫か? かつぐか?』
「いや、まあ、なんとか普通に帰れそうだよ……お菓子決まった?」
千歳と話していたら、金谷さん(兄)と出くわして、相手になんとも言えない顔をされた。金谷さん達からは、千歳は相当に危険視されているようなので、俺たちがコンビニで買い物してる所を見るだけで、なんとも言えない気分になるのかもしれない。多少話をしたが、割と疲れていたし、あまり長話はしたくないなと思って話を切り上げようとしたら、千歳にも
『お前疲れただろ、早く帰ろう』
と言われたので、とっとと帰ることにした。
千歳は昼ご飯のデザートにコンビニで買ったお菓子を食べて、ずいぶん気に入ったようだった。
『チョコミントとかいうのは初めて食べたが、うまいな!』
「割と季節もののフレーバーだから、これから結構売り出すと思うよ」
『他にもチョコミント見つけたら、食費の余裕分で買っていいか?』
「うん」
『楽しみだ!』
はしゃぐ千歳を見て、この間の誕生日に、お菓子を買っていいと言っておいてよかったなと思った。
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草村しげみ、ナナシノ大好きな部分込みでリスナーに愛されてるので、草村しげみを雇用した企業は草村しげみをナナシノもコンテンツとして込みで雇ってるのかもしれませんね
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#子々孫々まで祟りたい
第一話 せめて七代祟りたい(20220508初出)
RE: https://misskey.io/notes/9qj05pdk84s004mx
なぜ俺は、ヤの付く自由業を絵に描いたようなおっさんとともにリモート打ち合わせに臨んでいるんだろうか。威圧感がすごい。いや俺に向けられる威圧感には慣れたけど画面の先に向けられる圧がすごい。
おっさんがささやく。
『これでお前の取り分が増えないようだったら、取引先とやらにも祟ってやるからな』
こいつは俺の子々孫々まで祟ると宣言している怨霊である。割と変幻自在らしい。俺が子々孫々を作りそうにない貧乏なので、『まずお前の実入りを増やす。渡す金を増やせとお前の取引先を脅す』などと宣言してきた。
「やめて。てか変なことすると逆に減る可能性があるからやめて。仕事自体もらえなくなる可能性があるからやめて」
俺は必死で怨霊を押して画面の外に追いやろうとしたが、力が違いすぎてうまくいかなかった。
俺の仕事はフリーのWebライターだ。仕事が取れないと無職と同等の身分である。取引先との関係は大事なのだ。
『なんで打ち合わせが画面越しなんだ。対面ならもっと圧力がかけられるのに』
「あっち九州でここ神奈川なんだから、直接会うなんてコストかかりすぎるんだよ。もうそろそろ時間だから黙って頼むから」
俺の言葉を待っていたかのように、待機中だった画面が変わり、壮年の男性が映った。割と長いこと世話になっている編集者件兼ライターさんである。
〈どうもこんにちは、調子どうです? 和泉さん〉
「まあ、ぼちぼちです」
〈あれ? なんか部屋に他の人いる? ルームシェア始めたの?〉
「いや、ルームメイトでもなんでもありませんね……こないだ私とぶつかって、壊れたから賠償金を払えって言ってる人なんですけど、こっちに支払い能力がなさすぎるってわかったら稼げってうるさくて」
『もう少し他の説明の仕方ないのかお前』
怨霊に呆れられるという実績を解除した。俺としては普通に穏便に相手と話したいから無視するが。
「本当にすみません今日は萌木さんと仕事の話だって言ったらこいつ萌木さんに圧をかけて実入りを増やさせるって張り切って部屋に陣取ってきて私の腕力的に止められなかったんですけど私の気持ち的にはそういうつもりは一切ないので無視を貫いていただけると大変助かります本当にすみません」
一息で言い切ると、萌木さんは大変困惑した顔をした。無理もない。
〈そ、そう……まあ今日は部外者に漏れたらうるさいことは特に話さないからいいけど。でも一応聞いても言いふらさないでって言っておいて〉
「わかりました」
〈じゃあ、大体はこないだの納品終わりに言った感じだけど、今月は5記事大丈夫たなんだよね?〉
「はい」
〈記事のテーマとキーワードは共有した通り。ペルソナは前回から引き続き。いつも通り、まず記事構成ができたらこっちに渡して〉
ペルソナとは、記事などのWebコンテンツの想定読者層のことだ。どの程度の知識を持ったどの年代の人間が読むか、どんなニーズを持ったどんな人間が読むかなどを細かく決める。これがないと何も文章が書けないが、Web上の市場を調べ直した結果ペルソナに修正を加えることもたまにある。
「はい、でもまず全部のテーマで下調べして、前提から練り直したほうがいいんじゃないかってときは構成の前に連絡しますね。なるべく早めにします」
〈そうしてくれると助かる〉
「遅れそうなときは、それはそれで連絡します」
〈遅れたこと特にないじゃない〉
「量絞ってますからね……」
ブラック企業でぶっ壊した自律神経が本当に治らない。今はなんとか机の前に座って話しているけど、ダメなときは本当にダメで、一日寝ていることも珍しくないし、少し無理をすればすぐ反動が来てまた寝込む。
『たくさんやれば稼げるのか! 働け! お前昨日も寝て過ごしてたじゃないか! もっと働いて稼いで裕福になって子孫を繋げ!!』
「ちょっと黙ってて、ていうか自分のキャパ考えずに引き受けて結局できなくて納品日守れないとか、フリーランスとして完全アウトなんだよ、各所に迷惑がかかるんだよ」
さらに画面に映り込もうとする怨霊を全力でぐいぐい押し返していたら、萌木さんから声がかかった。
〈あのさ、余裕納品は本当に大事なんだけどさ、和泉さんがもうちょっと安定して仕事受けてくれるようなら、僕も上に言って記事単価上げられるんだよ? そっちも実績積めるしさ〉
こういうことを相手から言ってくれるのは本当にありがたい。仕事柄いろいろな編集と接しているが、はっきり言って稀有な人間だ。萌木さんはこういうことを言ってくれる人だから、なるべく関係をよくしておきたいのだが。
「まあそうなんですが……やりたい気持ちはあるんですけども」
〈和泉さんは最初から構成も文章もしっかりしてるし、調査力も高いし、量を頼めるならありがたいんだけど〉
『働け! もっと働いて稼げ!!』
「頼むから黙って。すみません萌木さん、やりたい気持ちはすごくあるんですが、まだ体追いつかなくて」
〈そう……まあしっかり療養してね。増やせそうだったら相談してよ〉
「ありがとうございます、本当にありがたいです」
俺は頭を下げる。たぶん映像なしの音声だけのやり取りでも下げていたと思う。
自律神経が死んで在宅仕事しかできなくなり、消去法で始めたライター業だが、書いたものは意外と高く評価してもらえている。ブラック企業では死ぬほど業務を積み上げられてもそれをこなすのが当たり前であり、全く評価はなかったし、もちろん給料にも反映されなかった。
だから、評価がもらえている今、できる仕事はなるべく引き受けたいけれど、悲しいことに体がついてこない。
その後、萌木さんと細かいところを詰めて、打ち合わせはお開きになった。
『取引は済んだのか! 決まった通り働いてすぐ金をもらえ!』
怨霊が黒い一反木綿のような元の姿になってがなってきたが、できない相談だった。
「……エネルギー切れたからもう休む」
『はあ!?』
「今日もあんまり調子よくないんだよ……打ち合わせの予定は前々から決まってたから頑張ってたけど、もうダメだ、今日は店仕舞い」
『……』
怨霊は首を傾げた。
『お前、外に働きにも行かずによく寝てるから、怠けてると思ってたが、もしかして病気なのか?』
「まあ……そう言っていいかな。自律神経失調症って正式な病名じゃないけど」
『難しい病気なのか?』
怨霊は不思議そうに聞く。幽霊に体調を心配されているというのも変な話だが、聞かれたことに答える以上のことに頭が回らなかった。
「パキッと効く治療法がないという意味ではね……規則正しく生活してちゃんとしたもの食べるくらいしかない」
『…………』
怨霊は考え込んだ。
『病気を治せば、たくさん働いて稼げるのか? 稼げるようになったら子孫を繋ぐか?』
「子孫はともかく、今よりは仕事増やせるから収入は増えると思う」
『じゃあまず病気を治せ! 寝ろ! 布団に行け!』
「言われなくても寝る……」
椅子から立ち上がって布団まで行こうとしたら、怨霊が俺の体を持ち上げて布団まで引きずりだした。
「いや自分で行けるから」
『速やかに寝ろ!』
「あんた力すごいな……」
引きずられるどころか体が宙に浮いた。そのまま布団に放られる。
『おい何だこの煎餅布団は! こんなところで寝たら治るものも治らんぞ!』
「いいから寝かせて」
『ワシは少なくともお前を七代祟るんだ! なんとしてでもお前を治して子孫を繋がせるぞ! もっと柔らかい布団に寝かせるからな!』
「俺が起きてられる時に布団干してくれるだけで十分なんで寝かせてください……」
体が治ったとしても、ライター業なんてよっぽど売れないと収入は悲惨なので俺が末代なのは変わらないと思うけれど、柔らかい布団で寝たいという気持ちはあるので、そこについてはもう何も言わなかった。
『お前、体を治すには規則正しく生活してちゃんとしたもの食べるしかないと言ったじゃないか』
俺を子々孫々まで祟ると言って現れて、俺が子孫を残しそうにないので俺に子孫を残させる方向にシフトした本末転倒の怨霊が言う。
俺はささやかな朝食を食べる手を止めて答えた。
「言ったけど」
『ダンボールに入ったパンしか食べてないじゃないか!! 何がちゃんとしたものだ』
「これはベーシックパンって言って、完全栄養食で栄養が取れるのにコンビニ飯より安いんだよ、自炊する体力のないヘボに最適なんだよ」
悪霊は訝しげな顔をした。
『信じられん』
「信じて、事実だから」
『うまいものなのか? なんでも入ってるというと味が濁りそうだが』
「……まずくはない、程度」
別に嘘は言っていない。まずくはない。ただ、毎日毎食食べ続けるとなるとかなり辛い味で、最近では舌の感覚を殺して食べている。
『お前なんか無理してないか?』
「別にしてない」
続きのベーシックパンを頬張ってインスタントコーヒーで流し込む。
『いやお前やっぱり無理してるぞ! たまにはまともなものも食え!!』
「金がかかるし、人間強度が下がるから食べない」
『……人間強度ってなんだ?』
こいつの感覚や語彙はあんまり新しくない。新しくても人間強度がわかるかはまた別の問題だが、この世のどんな人間でも子孫を残すものだという感覚が現代のものかと言われると、うなずきかねる。
「人間は贅沢を覚えたら戻れなくなるくらいの意味」
『別にものすごく高いものじゃなくて一汁三菜食えって話だ! お前、俺の財産があるだろ!!』
「奨学金返したら10万も残らなかったし、残りはもしもに備えて貯金」
『くそっ倹約家め』
「じゃあ、そろそろ俺仕事するから」
テーブルの前の椅子からパソコンデスクまで移動五秒。職住近接にもほどがある。
『あの萌木とか言うのからの仕事は終わったんじゃないのか?』
「終わったけど、あの量だけじゃとても暮らしていけない。俺の調子見て、やる余裕があればなるべく単発のを受けてる」
『どうやって受けるんだ?』
「ポートフォリオサイトのメールに直接来ることもあるけど、スキルシェアサイト通じて探すほうが断然多いかな」
『ポートフォリオ? スキルシェアサイト?』
「……ポートフォリオはやってきたことやできることのまとめで、スキルシェアサイトっていうのは技能集団の仕事探し寄り合いみたいなもの」
案の定メールには何も来ていないので、スキルシェアサイトを見る。流石に初心者は脱しているから、中級以上の記事単価のものに目を通していく。
『求人票が集まってるようなものなのか』
「そんな感じ」
できそうな案件のページを片っ端から開いて、隅々まで目を通していく。俺が明るい分野の案件があればありがたいのだが、物事はなかなかそう上手くはいかない。
『おい、これやれ! これいいぞ!』
「何?」
怨霊が画面を指すのを見ると、ミールキットの紹介記事をいくつか書くという案件だった。
「……できなくはないけど、こういう案件にしては値段低めだな」
『ミールキットって、ミールは食事のことだろう? 飯だろう?』
「料理用の食材キットってところかな」
『体験用に1回分提供って書いてあるぞ』
「………」
確かにそう書いてあった。記事単価を中心に見ていたから気づかなかった。3日分のミールキット付きなら、ミールキットの値段を考えると、たしかに割のいいほうかもしれない。
『これやれば金も食事も手に入るんだろう! これやってまともなもの食え!』
「他のも検討してからな」
開いたページは全部見たが、できるものはあれど、ぱっとしないものばかりだった。応募しても採用とは限らないから、ここからもひとつふたつ応募しておくことにはするが。
「……ミールキット案件も応募するか」
『おお! これでお前まともなもの食うな! 体治って稼いで子孫繋ぐな!!』
「そこまで物事は爆速でいかないから」
ミールキットの案件に無事に採用され、二日後には体験用ミールキットが届いた。最近インスタントコーヒー用のお湯を沸かすことしかしていなかったワンルームのささやかな台所にも活躍の機会が来たようだ。
『おお! 本当に火が出るんだな今の台所は!』
「あんた、いつの時代の怨霊なの?」
最新の台所だとオール電化でむしろ火が出ないのだが、たぶんこの怨霊には言っても通じないだろう。
「鮭の切身フライパンで焼いて、野菜は切ってあるからそのまま入れて、後は別添のソース入れて蒸せばいいのか」
ガスコンロの火をつけたり消したりしている怨霊が言った。
『この台所、おもしろいからワシにやらせろ』
「ええ? 火の加減とかできるの?」
『薪のくべ方で火を調節するのに比べたら、赤子の手をひねるようだぞ』
怨霊は胸を張った。見た目は黒くて毛羽立った一反木綿なので胸がどこかと言われると困るのだが、胸を張るような仕草をしているのはなんとなくわかる。
「あんた、いつの時代の怨霊なの?」
たしかに、いちいち火をおこしていた時代からしたらガスコンロは夢のように簡単だろうけども。
「まあやってくれるのは助かるけど……説明よく読んでその通りにやってよ」
『任せろ、ここにあるもの全部料理してやる。全部食べて体を治して稼いで子孫を繋げ』
「これ3日分だから。一度に作られても食べきれないから」
驚くべきことだが、怨霊は初めて使うガスコンロでまともに料理ができた。久々にテーブルに料理の皿を並べた。
ミールキットなので、味は保証されていて当然なのだが、ひとくち食べて思わず唸ってしまった。久々のまともな食事なのだ。
「……人間強度が下がっちゃうな……」
『うまいのか?』
「おいしい」
『ワシの手にかかれば当然だ!』
怨霊はまた胸を張った。その後もおいしいと言っておだてたらミールキットを全部作ってくれた。この間は布団を干しておいてくれたし、おだてたらもうちょっと家事をしてくれるのかもしれない。
『おい、まだ話続くか?』
娘に化けた怨霊が、会計をすませて戻ってきた。
「あ、ええと、すみません金谷さん、何か心当たりがあれば、妹さんの連絡先に伝えます。それでは」
「あ、はい、また……」
『お前疲れただろ、早く帰ろう』
和泉は、怨霊と連れ立ってコンビニを出ていった。コンビニのガラス越しに姿を見送る。何やら談笑しながら歩いていく後ろ姿は、何も知らなければ、ごく親しい間柄の人間同士にしか見えなかった。
どうして怨霊が大人しいのか、直接会って話してもさっぱりわからない。あの怨霊を人間と変わらない扱いをしていて、どうして和泉はなんの害も受けずにやって行けているのか。
……ある意味、人間として扱っているから怨霊が大人しいのかもしれないと気づくのは、もう少し先の話になる。
ごまかしごまかしやってきたが、いい加減、髪を切らないといけないと思う。人に会わない在宅仕事だが、髪を整えてヒゲを剃っておかないと、たまに外出した時に周囲から向けられる不審者を見る目つきがきつい。平日昼間なら、なおさらだ。
幸い、今日は仕事と仕事の合間の日で、やるべきことは全部やって納品完了している。次の仕事はまだクライアントからの詳細待ちなので、時間はある。ただ、散髪には駅前まで行く必要があるのと、俺の調子が今日はそこまでよくなくて、駅前まで出かけると後で布団直行だろうなというのと。
「どうしようかなあ……仕事的には今日を使うのが一番なんだけどな」
伸びた髪を触りながらぼやいていたら、朝の食器洗いを頼んでいた怨霊(女子大生のすがた)(命名:千歳)が台所から戻ってきた。
『今日は暇なのか?』
「うーん、クライアントの連絡がいつ来るかにもよるけど、たぶん今日は一日あく。だから髪切りに行きたいんだけど、どうしようかと思って」
『行けばいいじゃないか。なんかあるのか? 散髪する金ないのか?』
悲しすぎる心配をされた。千歳の顔が割とマジなのが、よけい悲しい。
「いや、流石に千円カットくらい行ける。悩んでるのは費用じゃなくて」
『千円カットって、なんだ?』
千歳はきょとんとしていた。
「え、そこから!?」
言われてみれば、昭和に千円カットはまだなかったかもしれない。手元のスマホで調べてみたら、なるほど千円カットは九十年代から出現したという記述があった。
「ええと……文字通り千円台で髪切ってくれる床屋のこと。床屋としては一大ジャンルかな。駅前に千円ちょっきりで切ってくれる所があるから、そこに行きたいんだけど」
説明すると、千歳は心底ビビった顔になった。
『千円!? そんなんで儲け出るのか!?』
「回転率よくして薄利多売でやってるんだと思うよ、時間十分しかかからないし」
『そんなんでまともに切ってくれるのか?』
「今の俺の髪型も千円カットだけど」
『うーん……まあ、まともか……』
「で、費用的にも行けるし、タイミング的にも今日行ったほうがいいんだけど、正直あんま調子よくなくてさ……出先でへばるの怖いから、行き帰り、付き添ってもらえたりしない?」
『ついて行くのはいいが、たかが散髪に無理してどうするんだ』
「今日を逃すと、なかなか切りに行くタイミングわかんないんだよ……調子いい時は仕事にあててるしさ、起きてられる体調で、なのに仕事は暇ってこと、実はあんまりなくて」
仕事があるのはありがたいことだが、こういう問題も起きる。体力さえあればある程度解決するのだが、体力増進のためにやっている朝晩のラジオ体操はまだ効果を発揮していない。
「切ってる間、外で待ってもらうことになると思うけど、いい?」
『十分しかかからないんだろ? 適当に外でぶらついてる』
「助かる。十時に開く千円カットだから、それに合わせて駅前まで行こう」
『わかった、もしお前がへばったら、かついで帰れるようにしとくぞ』
「……なるべくそうならないようにがんばります……」
千歳が、何かあったとき俺をかつげるようにと、ガタイのいいヤーさんの格好で行こうとしたので、どうしてもかつがなきゃいけない時に人目のないところでなってくれればいいからと言って止めた(女子大生の格好でついてきてもらうことになった)。
『あの床屋か?』
「そう、もう開いてるね」
『待ってる間、近くのコンビニ入っててもいいか? いつもは使わないから見てみたい』
「わかった、そこで適当に待ってて」
返事してから、何も買わないと決まってるのにコンビニをうろつかせるのもどうかと思って、付け加えた。
「コンビニの、そんなに高くないお菓子なら一個買うよ。臨時出費ってことで俺が出す。なにか選んどきな」
『え、いいのか!?』
たかがお菓子一個のことだが、千歳の顔がパッとほころんだ。
『どれにしようかなあ、コンビニって品物たくさんあるんだろ』
「まあ適当に選んどきな、髪切ってくるね」
きっちり十分で散髪は終わり、千歳はもうお菓子選べてるかなあと思いながら、俺はコンビニに入った。
『あ、大丈夫か? かつぐか?』
「いや、まあ、なんとか普通に帰れそうだよ……お菓子決まった?」
千歳と話していたら、金谷さん(兄)と出くわして、相手になんとも言えない顔をされた。金谷さん達からは、千歳は相当に危険視されているようなので、俺たちがコンビニで買い物してる所を見るだけで、なんとも言えない気分になるのかもしれない。多少話をしたが、割と疲れていたし、あまり長話はしたくないなと思って話を切り上げようとしたら、千歳にも
『お前疲れただろ、早く帰ろう』
と言われたので、とっとと帰ることにした。
千歳は昼ご飯のデザートにコンビニで買ったお菓子を食べて、ずいぶん気に入ったようだった。
『チョコミントとかいうのは初めて食べたが、うまいな!』
「割と季節もののフレーバーだから、これから結構売り出すと思うよ」
『他にもチョコミント見つけたら、食費の余裕分で買っていいか?』
「うん」
『楽しみだ!』
はしゃぐ千歳を見て、この間の誕生日に、お菓子を買っていいと言っておいてよかったなと思った。
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カカオ豆の高騰ヤーッ!!!!ですわ
そんなに頻繁にチョコ食べるわけじゃありませんけど、いつでも気軽にチョコを買える世の中であってほしいんですの!!!!
ダンジョン飯、長命種が短命種を見下してるのからすると、1000年生きるハーフエルフこそ500年しか生きられない純エルフを見下してておかしくない気がしますが、実際は逆っていうのは何なのでしょうね
ハーフエルフの不妊が問題なのでしょうか?
今日散歩中に、大人しくて人馴れしてそうなかわいいボーダーコリーが繋がれてるのを見て、とてもなでたかったんですけど飼い主さんが見当たらなかったので
「飼い主さんに聞かないで触るのはよくないな……」
とすごく頑張って我慢しましたのよ、えらくありませんこと?
幼女戦記にサブタイつけたら、
『ターニャちゃんは静かに暮らしたい』
でも何も間違ってないことに気づきましたわ
徹頭徹尾後方勤務希望ですしあの人
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あなたも #にゃんぷっぷーとあそぼう !
育てているnyapuです!
ずっとずーっと、一緒だよ
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楽園WEB増刊『知恵ある恋人』すごくえっちでした(※露出ゼロです)
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