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ただし、漫画のキャラクターにマスクをつけさせると、不可避的に顔が遮蔽されてしまうという問題がある。
 『魚と水』では、普段は着けていないが、ところどころマスクを取り出して着用する場面を描くという形で解決している。『ポストキッズ』は割り切ってSFメット方式。『旅に出るのは僕じゃない』は、耳紐と輪郭だけでマスクを示唆し、キャラクターの口元はそのまま描いている。いわば透明マスクのような描き方。これはこれであり。

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コロナ感染症を取り入れている漫画(または目下のパンデミックに影響されたとおぼしき漫画)もいろいろある。いくつか紹介してみると:
 1) 田亀源五郎『魚と水』(単刊)は日常もの。マスク配慮などの描写がキャラクター間の関係描写としても活用されている。ストレートな日常=パンデミックもの。
 2) 宇河弘樹『ポストキッズ』(既刊2巻)は、架空のパンデミック社会で、感染を防ぐために引き籠もっている人々のために、郵便配達をして回る「ポストキッズ」たちが主人公。少年漫画風のコミカルさとSF的状況の晦渋さが宇河氏らしい。
 3) いけだたかし『旅に出るのは僕じゃない』(既刊1巻)。パンデミック下で海外渡航が困難な近未来世界。人々のために代理旅行をする旅行者が主人公(※体験の記憶をヴァーチャルで販売する職業)。情緒とロマンと苦みがあって、読み応えがある。軌道エレベータも登場。