本日4/8(土)鑑賞。Twitterで「だいたい帝都物語」「ツダケン」「金のかかったよく出来た邦画」と評判いいので観に行くことに。こんなんばっかだな自分。映画鑑賞者としての自我がほぼない。
前情報無しで行ったので、さわりの「帝」「家同士の政略結婚」「軍部」あたりのキーワードと和風ファンタジーっぽい世界観で（ああ〜またゆるふわ右翼フィクションか〜）と早々に落胆しかけたが、ああいう和風ファンタジーを楽しむには本邦は荒廃しすぎ、私は「フィクションと現実は別」と嘯いていられるようなオタクではなくなってしまったのだ…。
ストーリーは王道中の王道、寧ろ継子いじめ！冷酷非情銀髪評判最低美丈夫軍人婚約者！食えない恋の鞘当て二番手貿易会社御曹司！非能力者のヒロインには母譲りの超強力な隠された能力！とかベッタベタの少女小説もののお約束が連打され「今の少女小説メインストリーム層にもこんな私の現役時代と変わらぬ設定・話運びのフィクションがウケてるのか！？」とびっくりしてしまった。いやわからん、子どもの数が減って年寄りの数が増えてるので全体数としては年寄りにウケてるのかもしれん(暴言)

ヘテロ恋愛映画が苦手(というか男二人へ非常に強い興味がありすぎる＆判定が甘い)人間なので、序盤の風呂のくだり辺りまで本っ当にキツかった。ヒロイン(庶子)が如何に不幸な境遇で育ち、それを救ってくれるのが有能で力があり美形なヒーロー(家長)たる存在という形式、私の大嫌いな家父長制が根源にあるのでそら無理というもの……。政の場も薄刃家当主の集いも男性オンリーだったわね……。
画作りの丁寧さと脚本のテクニカルさ(120分以内に収める作品は問答無用で高得点)を差し引いても久堂清霞役の目黒蓮パワーが8割くらいの映画だった。何で日本人が銀髪和装が似合うんだ？？「消えた初恋」で手堅い演技かつスパダリオーラがすごかったので今作でもそこらへんが遺憾なく発揮されていた。あと所作がものすごく美しい。食事の際の合唱、印を結ぶ、書類をめくる手付きetc-内から醸し出される上品さが名家の出という役柄に説得力を与えていて良かった。凡百の退屈なファン向けムービーが数多ある中でファン以外でもシンプルに「かっこいいな！」と感じられるキャラクターや作品に仕上がっているのは成功と呼べるのでは？