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白央篤司『はじめての胃もたれ 食とココロの更新記』(太田出版,2024年11月)

現在アラフィフのフードライターである著者が、だんだん若い頃と比べると元気がなくなってきた身体と、それに伴う心境の変化を率直に綴った1冊。加齢に抗って若々しさを取り戻そうとするよりも、従容とそのときどきの現状を受け入れて対応していくスタンス。しかしそれがかえってすがすがしく、前向きで明るい読後感。

昔のようにこってりしたものをがっつりと食べられなくなった人、余裕がなくて時間や手間をかけたご飯を作れない日もある人などが参考にできる、肩の力を抜いた柔軟な発想による食生活のヒントも。出てくる飲食物の描写が読んでて楽しく、簡単そうなものでも美味しそう。

食の問題だけでなく、日々の生活全般に対して、思い込みや決めつけをやめて自由になろうよ、と語りかけてきてくれる感じ。女性に対する世間の目もまだまだうるさいけど、男性は男性で、身体のキャパシティを見極めて小食な人が引け目を感じさせられたりするようなことがあるんだなあ。そういうのなくなってほしいですよね。