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前沢明枝『「エルマーのぼうけん」をかいた女性 ルース・S・ガネット』(福音館書店,2015年11月)

来月、20世紀半ばから読み継がれる児童書『エルマーのぼうけん』がテーマの展覧会が立川で開催されるので、予習のつもりで手に取りました。ルース・S・ガネットは、3部作の文章を書いたほうの人(絵を描いたルース・C・ガネットは、たまたま名前がかぶった、その実父の再婚相手)。

2010年にガネットさんが来日した際、通訳としてアテンドしたかたが、その翌年から3度にわたりガネットさん宅へ赴いてインタビューを重ね、まとめた回想録。

ガネットさんが1923年生まれにしてはすごく先進的な家庭で育っており、特別な方針の学校で自主性と自由を重んじる教育を受け、心身たくましく成長していった人なんだということが分かる。

取材の時点ですでに80代後半ですが、たいへんお元気でお茶目で自分の信条を貫いている、魅力的な女性です。

〔つづく〕

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〔つづき〕

今年8月には100歳(!)になる彼女の近況も、来月の展覧会で紹介されるのかな。

ところで、「エルマー」シリーズでは、9歳のエルマーが2週間の無断外泊をしても、両親は心配しつつ特に大騒ぎはせずにただ帰りを待っててくれるんだけど、最初に読んだとき「普通それはないよね……」って、なんの憂いもなく冒険に旅立っていけるエルマーがめちゃくちゃ羨ましかったんですよ。実際にそれやったら危険のほうが大きいということも、ちゃんと子供心に理解しつつ。

だけど本書によると、ガネットさんの場合も現実には、小学校に上がったばかりの頃のある朝、一緒に登校するはずだったお兄さんをちょっとびっくりさせたくて、先に家の外に出てほんのしばらく隠れていただけで、お母さんが警察に連絡しちゃってるんだよな。ですよねー! で・す・よ・ねーーーー!!!!

あと、ガムもちっちゃい頃は禁止されてたんだって! だからエルマーは旅に出るときリュックにいっぱいガムを入れていくんだって!

ちびっこ願望充足物語という一面もあったから、このシリーズあんなにわくわく楽しかったんだなー!

〔了〕

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PLAY! MUSEUM|企画展示「エルマーのぼうけん」展
2023年7月15日(土)―10月1日(日)
play2020.jp/article/elmer/

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企画展示「エルマーのぼうけん」展