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北大路公子『お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記』(集英社,2022年11月)

著者のお父さまが突然お亡くなりになったことは、以前ほかのエッセイ集で読んでいました。その後のお母さまとふたり暮らしの日々。経営者のいなくなった会社を畳み、お墓のことを考える。そしてコロナ禍の始まり。連載開始前に想定していた企画がまったく現実化できない状況。

2020年当時のあの、いろんなものが止まってしまい非日常感がただよっていた社会の雰囲気が改めて想起されます。実際にはきっとしんどい思いもあったでしょうけれど、北大路さんの筆致は悲壮感が抑制されており、でもユーモラスな表現のなかに、いなくなったひとのじんわりとした存在感があったりもする。

お墓問題が早く決着つくといいですねと思いつつ、そんなにてきぱき決められないの分かります。会社がなかなか片付かないのもすごい分かります。途中からは久々に飼うことになった猫さんにめろめろになるお話も。Twitterで拝見している、あの白い美猫さんですよね。そういう経緯でおうちにやってきたのか。