#読書
かまど+みくのしん『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』(大和書房,2024年8月)
ネットで大評判だった企画の書籍化。タイトルどおり、物語を一切読んだことがなく、学校の国語の授業も試験に出るとこだけ覚えて乗り切ってきたという、読書に苦手意識のあるみくのしんさんが、子供の頃から習慣的に本を読んできたかまどさんに伴走されながら短編小説に挑戦していく。
太宰治「走れメロス」、有島武郎「一房の葡萄」、芥川龍之介「杜子春」と古い有名作品が続いたあと、最後は著者のおふたりとは仕事仲間でもある現役売れっ子作家の雨穴さんによる書き下ろし短編を、書いたご本人の目の前で読む。
一文一文を声に出し、一語一語を吟味し意味を確認しながらページをめくり、脳裡に浮かぶ情景をかまどさんに向かって身振り手振りや図解を交えて事細かに説明し、物語に沿ってテンションを乱高下させマジ泣きしたりもするみくのしんさん。短編ひとつ読破するのにも、とんでもなくエネルギーを消費している。かまどさんとともに、なるほどこれでは、気軽に読書なんかできないわ、疲れ切っちゃうもん……と納得せざるを得ない。
〔つづく〕